新型コロナの現状は? 「ウイルス変化、弱毒化は不明」長崎大熱帯医学研究所 森田公一所長

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「新型コロナウイルスは5~7系統に分かれている」と話す森田所長=長崎市、長崎大熱帯医学研究所

 世界で猛威を振るい、冬の感染再拡大が懸念される新型コロナウイルス。現状や疑問点を長崎大熱帯医学研究所の森田公一所長(ウイルス学)に聞いた。

 -ウイルスは変化しているのか。
 人間の遺伝子も親から子へ世代がかわるときに塩基配列が変化するように、ウイルスの遺伝子も変化している。現在は5~7系統に分かれている。最初に武漢で確認された中国系統は2、3系統、ヨーロッパ系統も3、4系統に分かれている。どんどん変化している。

 -弱毒化しているのか。
 まだ分からない。日本で弱毒化しているように見えるのは若い人の感染が多いことも一因だろう。死亡率は若い人で0.1~0.2%と低く、80歳以上だと20%(第2波では10%)と高い。

 -空気感染はするのか。
 空気感染の定義はウイルスが長距離ふわふわ浮いて感染する能力があるということ。はしかの原因である麻疹ウイルスは1人の感染者が平均何人にうつすかを示す「実効再生産数」が15、16で空気感染する。新型コロナは同0.8~1.2で空気感染するウイルスとはとらない。ただ、マスクをしていても会話やくしゃみをすると微小飛沫(ひまつ)が出る。2、3メートル浮遊して吸い込むと感染する。あくまで飛沫感染ととらえている。

 -後遺症はあるのか。
 フランスの研究では倦怠(けんたい)感が55%、呼吸苦が42%、記憶障害34%、睡眠障害31%、集中力低下28%、脱毛20%と報告されている。

 -院内感染はなぜ起きるのか。
 病院には患者を含めて多くの人が訪れる。具合が悪い人が来るので医療従事者は感染者と接触を持つ確率は高い。また病院は診断能力がしっかりしている。長崎大学病院で確認された最初の症例は本人に症状はなく、実習のためにPCR検査をして、たまたま陽性が分かった。ほぼリアルタイムで感染が把握ができるので、感染者が発見されやすい。

 -感染していないのに陽性となる「偽陽性」の反応が検査で出るのはなぜか。
 PCR法、LAMP法いずれも新型コロナウイルスの遺伝子の特定部分に特異的に結合するプライマーという試薬を使って、ウイルスに特徴的な遺伝子の部分を連鎖反応させて増幅する。まれにウイルスの遺伝子ではないものに反応して、(理由は分からないが)非特異的な連鎖反応が始まって「偽陽性」が出る。原因は分かっていない。
 ウイルスの量が多いほど増幅する時間は短くて済むが、量が少ないと長く反応させる。そういうときに非特異の連鎖反応が始まる場合がある。