10月7日は12時時点で、「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が5件(倒産5件)判明し、2月からの累計は全国で571件(倒産513件、弁護士一任・準備中58件)に達した。
月別では、単月最多の103件発生した6月以来、7月は80件、8月は67件と前月を下回ってきたが9月は100件と3カ月ぶりに前月を上回り、6月と同水準の件数となった。10月は7日時点で30件と月間100件を上回るペースで推移、コロナ関連破たんは増勢基調が鮮明となっている。
なお、集計基準外だが、負債1,000万円未満の小規模倒産は累計29件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計600件に達した。
コロナ関連破たんの再増加は、事業環境の悪化が長引き、追加融資やリスケの見直しの時期に差し掛かるなかで、政府や自治体の資金繰り支援効果が薄れつつあることを示唆している。コロナ前の収益水準に回復するには時間が必要で、体力の乏しい小・零細企業の脱落がさらに加速する懸念も広がっている。
【都道府県別】(負債1,000万円以上) ~ 群馬県で10件目が発生、10件以上は17都道府県に ~
都道府県別では、東京都が137件(倒産127件、準備中10件)で、全体の2割以上を占め(構成比23.9%)突出している。以下、大阪府が59件(倒産52件、準備中7件)、北海道29件(倒産29件)、愛知県26件(倒産25件、準備中1件)と続く。
10月7日は群馬県で2件発生し、累計10件となった。この結果、10件以上の発生は全国で17都道府県に広がった。このほか、北海道、東京都、神奈川県でそれぞれ1件ずつ発生した。
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【業種別】(負債1,000万円以上) ~ 飲食業が90件で最多、アパレル関連63件、宿泊業50件 ~
業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が90件で最多。次いで、百貨店や小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)が63件。インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響した宿泊業が50件と続き、3業種が目立つ。
このほか、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業(33件)や、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が31件に達し、飲食業界全体での需要低迷が影響している。
【負債額別】(負債1,000万円以上)
負債額が判明した556件の負債額別では、最多が1億円以上5億円未満で217件(構成比39.0%)。次に、1千万円以上5千万円未満154件(同27.6%)、5千万円以上1億円未満91件(同16.3%)、10億円以上と5億円以上10億円未満が同件数の47件(同8.5%)の順。
負債1億円未満が245件(同44.0%)を占める。一方、100億円以上の大型倒産も3件発生し、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。
【形態別】(負債1,000万円以上)
「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した513件の形態別では、破産が455件(構成比88.6%)で最多。次いで、民事再生法が33件(同6.4%)、取引停止処分25件(同4.8%)だった。
「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の民事再生法は1割未満にとどまる。なお、9月以降に発生した民事再生3件はいずれも個人企業の小規模個人再生によるもの。
業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。
【従業員数別】(負債1,000万円以上)
「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した526件の従業員数の合計は1万805人にのぼった。
526件の内訳では従業員5人未満が230件(構成比43.7%)と、約4割を占めた。次いで、5人以上10人未満が111件(同21.1%)、10人以上20人未満が85件(同16.1%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者ほど、新型コロナによる影響が大きい傾向となっている。
従業員50名以上の破たんは8月以降10月までで、それぞれ1件の発生にとどまり、小規模化が顕著となっている。
※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。
(負債1,000万円以上)
(負債1,000万円未満を含む)
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