やわらかさ、そのまま 焼きたてパンを宅配 長崎・ポルトボヌール

焼きたてパンの宅配を始めた川端代表=長崎市、将大

 予約制の食パン店「ポルトボヌール」を手掛ける食品加工・卸業の将大(長崎市畝刈町)は、焼きたてのパンを当日発送、翌日着で届けるサービスを始めた。パンの通販は焼いた後に冷凍して届けるのが主流だが、本業の食品加工のノウハウを生かし、風味とやわらかさを損なわずに当日の発送を実現した。

 同社は1997年創業。農水産加工品のほか、角煮まんじゅうのまんじゅうを製造し、県内のホテル、飲食店などに卸している。食パン事業はまんじゅう生地の技術を活用し、2018年に開始。定番の食パンは4種類(各880円)で、受注した分は畝刈工場か提携している店舗で渡し、予約以外にも同市浜町の商業施設前で販売している。
 宅配に目を向けたきっかけは、新型コロナウイルス禍の中、外出を控える人が増えたこと。川端将知代表(49)は年配の常連客から「パンは欲しいけど店や街まで買いに行きづらい」との声を聞いた。さらに、後押ししたのが福岡に住む長女の「お父さんのパンが食べたい」という言葉。医療従事者で、県を越える移動や県外の人との接触はいまだ禁止。「やわらかいまま県外にも送ってあげたい」と方法を模索した。
 焼きたての食パンは、熱が残ったまま梱包(こんぽう)すると、水蒸気が発生し傷みやすくなる。そこで、加工品をつくる際に使う急速凍結機でパンの中心温度を常温程度まで下げ、焼きたてを10分で常温にし発送できる体制を整えた。
 宅配エリアは翌日までに届く範囲(県内、九州、中国、四国、関西、中部、東京23区、神奈川県)。送料は県内が1本470円。それ以外は500円から。
 川端代表は「やわらかいまま届き、喜ばれている。自宅用はもちろん、長崎の味を県外の人にもぜひ味わってほしい」としている。問い合わせはポルトボヌール(電095.814.1310)。


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