カネミ油症検診 五島、長崎で2、3世の受診目立つ コロナ対策で未認定に限定

油症検診で血圧を測る未認定の男性(左)=五島市内(画像の一部を加工しています)

 カネミ油症被害者の健康状態を調べる本年度検診が、9日までに五島市と長崎市の計4カ所で実施された。今回は新型コロナウイルス対策で「密」を防ぐため認定患者を対象から外し、新たに認定を求める人のみとした。20~80代の男女計42人が受診。検診項目を減らし時間が短縮されたことなどから、仕事を持つ若い世代の受診が目立った。油症問題では、有害物質を患者の母親の胎盤や母乳などから間接的に摂取した子、孫ら次世代被害の可能性が指摘されている。
 県生活衛生課によると、会場別の受診者数は長崎市が15人、五島市は玉之浦7人、福江6人、奈留14人。年齢別は20代2人、30代6人、40代3人、50代7人、60代以上24人。計42人中、14人が初めて受診した。
 全国油症治療研究班の委託を受けた県が毎年実施。通常は採血、内科や皮膚科などの診察、胸部エックス線検査などだが、今回は問診と血圧測定、認定診査で重視される原因物質ダイオキシン類の血中濃度などを測る採血のみ実施した。
 五島市で未認定患者の掘り起こしに取り組む医療ソーシャルワーカー山口加寿美さんによると、認定患者の子や孫の姿が通常より多く、「検査項目が少なく短時間で終わるため、働く世代が仕事の合間に来やすい。また予約制なので会場で顔を合わせる他の受診者も少なく(油症の可能性を隠している人も)受けやすかったのでは」とみる。
 初めて受診した同市内の30代男性は、父親が認定患者。「まわりから『あなたも油症では』と言われ、気になっていた。自分の体のことは知っておきたいと思って受けた」と話した。

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