「ペットの受け入れ」最大課題に 台風で避難所、対策急ぐ

 昨年10月の台風19号時に神奈川県内の市町村が開設した避難所でペットの受け入れが後手に回り、避難所運営で最大の課題となっていたことが、神奈川新聞社のアンケートで分かった。ペット連れを想定した準備を整えていなかったためで、スペースを急きょ確保するといった対応に追われたほか、避難を拒んだケースもあった。19号の上陸から12日で1年。各自治体は当時の反省を踏まえ、ペットと同行避難が可能な避難所の選定や対応マニュアルの整備などを急いでいる。

 箱根町で一日の雨量が全国歴代最多の922.5ミリを観測するなど記録的な豪雨となった台風19号では、県内各地で崖崩れや河川の氾濫、市街地の浸水などが相次いだ。神奈川新聞社の集計では、県内全33市町村が計944カ所の避難所を開設し、10万1千人余りを受け入れた。

 33市町村に当時の教訓などを尋ねたアンケートは、今年9~10月に実施。その結果、横浜、川崎、相模原など最多の26市町が「ペットを連れた避難者の受け入れ」を課題に挙げた。

 多摩川流域の浸水で避難者が3万3千人を超えた川崎市は当時、風水害時のペット受け入れルールを定めておらず、「混乱を招く結果となった」。対応がばらつき、衛生面を理由に施設内への避難を認めない避難所があったほか、ペットの受け入れを断られた人が避難を断念したケースもあった。その後、ケージに収容されたペットは原則として受け入れる方針を定め、住民への定着を図っている。

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