「釣れる竿」ってどんな竿!? DAIWA "BLX" が教える『本当のバスロッド学』 第1回:折金一樹 in房総リザーバー編

虚飾を廃したシンプルな外観と「ブランク性能」というバスロッドの本質を追求するコンセプトから、多くのバスアングラーの支持を集めてきたDAIWA『ブラックレーベル』。2019年には「ブランク性能」のさらなる可能性を追求するため、第2世代となる『BLX』が満を持して登場した。そして2020年、『BLX』は新たに11アイテムを追加し、全49機種をラインナップ。本シリーズでは、4人のDAIWAプロアングラーが実釣を通して『BLX』がもつ「ブランク性能」のポテンシャルとその使い分けを披露する。第1回は折金一樹プロによるレンタルボートリザーバー攻略だ。

「釣れる竿」とは何か。"BLX" がその問いに答える。

「虚飾を廃し、本質のみに心血を注ぐ」。

2009年に登場した初代ブラックレーベルは、「質実剛健」のキャッチフレーズのもと、過剰な装飾を廃して釣獲性能だけを追求するコンセプトが多くのユーザーの心を掴み、その地位を確固たるものにしてきました。

その釣獲性能とはズバリ「ブランク性能」

あれから10年。昨年2019年に、バスロッドのさらなる本質を研ぎ澄ますために誕生したのが第2世代ブラックレーベルである『BLX』です。

「釣獲性能」が高い竿とは、言い換えれば「釣れる竿」。その最大のキーとなるのが「ラインスラックコントロール」です。張りすぎず緩めすぎず、ラインスラック(糸フケ)が適度に作り出された状態が、最もハードプラグ本来のアクションを生み出し、ワームに生命感を与える。

従来であればアングラー自身が意識的に作り出さなければならない「張らず緩めず」の状態を、オートマチックにロッドが生み出してくれれば……。

これこそが「釣れる竿」の本質であり、DAIWAが『BLX』に求めたものなのです。

まずはDAIWAバスロッドの番手の読み方をおさらい!

一見すると難解に見えるDAIWAバスロッドの番手表記ですが、1度覚えてしまえば、ひと目でそのロッドの特徴がイメージできる便利なシステムになっています。この機会に今一度おさらいしましょう!

【1】釣法別に2つのシリーズが存在(BLXのみの表記)
SG:高弾性カーボンによる感度と操作性に特化。主にワームやジグに対応。"Sensitive of Graphite"の意。
LG:中弾性カーボンによる曲がりと粘り、投げやすさが魅力。 主にハードプラグに対応。"Limberness of Graphite"の意。

【2】[全長]フィートとインチを連ねた最大3桁の数字。上の例は6フィート1インチ。

【3】[継ぎ数]「1」は1ピースモデル。「2」はセンターカット2ピースモデル。なお、BLXの場合、1ピースモデルは全てグリップジョイント式なのでグリップ部分の着脱が可能だ。

【4】[パワー]竿のフィーリングや使用ルアーの幅を決める硬さ表記。例のように「/」で区切られている場合は、「/」の左側がブランクのティップ側、右側がベリー〜バット側を表す。
 UL:ウルトラライト
 L(+):ライト、ライトプラス
 ML(+):ミディアムライト、ミディアムライトプラス
 M(+):ミディアム、ミディアムプラス
 MH:ミディアムヘビー
 H(+):ヘビー、ヘビープラス
 XH:エクストラヘビー

【5】[テーパー]竿全体の調子(曲がり方)を意味する4つの略英字。
 X:エクストラファスト。Fよりもさらに先端寄りで極端な先調子。
 F:ファスト。先端寄りで曲がる先調子。
 R:レギュラー。Fよりも胴寄りで曲がる調子。
 S:スロー。Rよりもさらに胴寄りまで曲がる調子。

【6】 [タイプ]竿のタイプ。
 B:ベイトキャスティングモデル
 S:スピニングモデル

【7】 [その他の特徴]「-」で繋げる英2文字で表す。
 ST:ソリッドティップ採用モデル。モデルによって弾性率は異なる。
 FR:トゥウィッチンフロッグ・モデル。PEラインの使用を前提としたガイドセッティングで、より快適にフロッグゲームを楽しめる。
 SB:スイムベイト・ビッグベイトゲーム専用モデル。

レンタルボートリザーバー×折金一樹

『BLX』は感度と操作性に特化した『SG』(主にワーム用)としなやかさと粘り、キャスタビリティに特化した『LG』(主に巻物用)の2シリーズを展開。2年目となる2020年には新たに11機種を追加して全49機種のラインナップとなりました。そのいずれもが各釣法に応じた適材適所のブランク設計が施され、ラインスラックコントロールに秀でています。

本シリーズでは、4人のDAIWAプロアングラーが、このBLXの性能をフィールドにどのように落とし込み魚を獲っていくかを、実釣取材を通してご紹介していきます。第1回は房総リザーバーの凄腕・折金一樹プロがBLXを駆使して梅雨時の三島湖を攻略します!

アングラー紹介

【Profile】
折金一樹(おりかね・かずき)

ハードルアーオンリーの大会『H-1グランプリ』では2度のA.O.Y.(アングラー・オブ・ザ・イヤー)を獲得するなど輝かしい戦績をもつ、房総半島をホームとする腕利きプロガイド。今回は高滝・亀山・片倉・豊英・戸面原を含む房総6大リザーバーのひとつ、三島湖で実釣ロケが行われた。

ブラックレーベル LG662M/MLFB

快適なキャスト性能と操作性能が魅力のバーサタイルロッド

梅雨真っ只中の7月初旬。折金さんは房総半島の人気リザーバー・三島湖に降り立った。

釣りを開始してまず始めに折金さんがサーチルアーとして登板させたのが130mmサイズのビッグミノー。フローティングカバー回りに軽快にキャストを決めていきます。この時折金さんが使用したタックルが『LG662M/MLFB』

カメラマンが思わず「投げやすそうな竿ですね」とコメントするほどキャストアキュラシーが高いのはM/MLというパワー設定の賜物。低負荷ではファストテーパーですが、キャスト時など負荷がかかる時はパラボリック(放物線状)に曲がるマルチテーパーを採用しています。そのため、ブランク全体を使ってルアーを押し出す投げやすい竿になっているのです。

また、適度にハリがあるテーパーはミノーをトゥウィッチさせたりジャークさせたりするのにも最適。トップウォーターや巻物系プラグ、スピナーベイトにも高次元で対応するバーサタイルロッドです。

ブラックレーベル LG 662M/MLFB

全長:1.98m
継ぎ数:2
仕舞寸法:103cm
重量:104g
先径/元径:2.3/12.9mm
適合ルアー重量:4〜21g
適合ライン:6〜14lb

ブラックレーベル SG682MHXB-ST

微かな地形変化を感じ取る繊細なティップと一気にバスを寄せるバットパワー

「魚類が浮いてる感じがしないですね。沈んでるかな」。

そう言って、折金さんは2つの川筋の合流点でボートを止めるとタックルを持ち替えました。次に登場したのは『SG682MHXB-ST』。エクストラファストテーパーのMHパワー・ソリッドティップモデル。この尖ったスペックのロッドはどのような用途で活躍するのでしょうか。

「テキサスリグ、フリーリグ、リーダレスダウンショットなどの打ち物系のワームで探るときに、移動距離を抑えて障害物を舐めるように引くことができるのがソリッドティップの最大のメリットです

ブランクの芯が中空のチューブラーとは異なり、芯が詰まった無垢の構造がソリッドティップ。かつては食い込み重視の曲がりが注目されましたが、BLXでは高弾性ソリッドを採用することで感度を高めつつも繊細な竿先でボトムの地形変化を感じ取ることができます。

ブラックレーベル SG 682MHXB-ST

全長:2.03m
継ぎ数:2
仕舞寸法:106cm
重量:115g
先径/元径:1.3/14.9mm
適合ルアー重量:7〜28g
適合ライン:10〜20lb

ブラックレーベル SG671MHFB

取り回しの良いレングスによるスピード重視の操作性

バスの反応を得られなかった折金さんは上流域へとやってきました。岸際に点在する倒木などのヘビーカバーに1/2ozのラバージグを打ち込みます。

適材適所。折金さんはシチュエーションと使用ルアーに応じて最適なロッドを導入していました。ここで折金さんが手にしているロッドは『SG671MHFB』

「こういう所は出たらでかい」

強い流れの中で巧みに操船しながら、次々とテンポよくサイドキャストとフリッピングを駆使して低弾道でルアーをカバー奥へ送り込んでいきます。すると……

「うっ!!」

うめき声にも似た叫びとともに豪快にフッキング! ヘビーカバーをものともしないMHパワーが功を奏し、フックはしっかりとバスの上顎を貫いていました。

姿を現したのは美しい魚体の40アップ!

ショートレングスによる的確なキャストが功を奏した。

使用した『SG671MHFB』は、一般的なジグ用ロッドとしてはやや短めの6フィート7インチ。ジグロッドとしてビッグレイクで定評のある19モデル『SG721H+FB』を関東リザーバースペシャルモデルとして再設計した20モデルです。レンタルボート上でも取り回しがよいレングスが魅力。ハリの強いティップがヘビーカバーでのスタックを素早くかわし、常に適度なラインスラックを作り出して釣れる状態にしておくことができます。

ブラックレーベル SG 671MHFB

全長:2.01m
継ぎ数:2 ※グリップジョイント仕様
仕舞寸法:173cm
重量:110g
先径/元径:2.6/14.9mm
適合ルアー重量:7〜28g
適合ライン:10〜20lb

引き続き強い流れを遡上しながらカバー打ちを続ける折金さん。流れの淀みにあった倒木で再び強烈なバイトが!

「うぉぉ!? よぉーっし!」

『SG671MHFB』のパワーで強引に倒木からバスを引き離し、難なくキャッチに成功しました。

流れが強いエリアのカバーからロッドパワーで一気に引きずり出した。

さらにこの後も、別エリアの流れ込みで3尾目となる40アップをキャッチ。静かで熱い男オリキンがノってきた〜!!

狭い船上に狭い景色。このような状況では『SG671MHFB』の操作性の高さが際立つ。

ブラックレーベル LG5111LFS

軽量ハードプラグを思い通りのスポットへ。オリキン待望の1本。

上流から本湖側のオープンウォーターへと戻ってきた折金さん。ここで初めてスピニングタックルに持ち替えました。ロッドの先には7cmクラスのミノーが結ばれています。増水によって冠水したシャローフラットを狙うようです。ただ巻きの中に時折ジャークを加えながら魚を誘い、小バスながら追加に成功!

ショートレングスなのでトゥウィッチなど繊細なルアーアクションをつけやすい。

「6フィートを下回るショートレングスで取り回しが良く、キャストアキュラシーも高い。参加者が200名にも及ぶような大規模な大会では、他のアングラーがすでに攻めた場所でバイトを得るために、キャストコースを厳選してルアーをトレースしなければなりません

ハードプラグオンリーの大会「H-1グランプリ」を主戦場とする折金さんにとって必要不可欠な1本に仕上がっているようです。

ブラックレーベル LG 5111LFS

全長:1.80m
継ぎ数:2 ※グリップジョイント仕様
仕舞寸法:160cm
重量:89g
先径/元径:1.5/10.8mm
適合ルアー重量:0.9〜11g
適合ライン:2.5〜6lb

ブラックレーベル SG641L+FS

高感度バーサタイルスピニング

オープンエリアをチェックし終えた折金さんは、続いて岩盤沿いをダウンショットリグで探り始めました。すぐにバイトを得るもすっぽ抜け。すかさず同じ場所にリグを落とし込み、しばらくシェイクしているとラインが走った!

「でかくね?……うぉぉ、でかい!」

ドラグを生かした慎重なファイトの末、無事ネットイン。この日の釣行を締めくくるクオリティー・フィッシュでした。

ハイプレッシャーフィールドではライトリグを繊細に操れる『SG641L+FS』は頼もしい存在だ。

この時、折金さんが使用していたロッドは『SG641L+FS』。スモラバ、ネコリグ、ダウンショットリグなどのライトリグ全般に加えて、シャッドやシンキングプロップベイトといった軽量プラグまで幅広く扱えるパワー設定が魅力です。

高感度なので繊細にボトムやストラクチャーの変化を感じたり、微かなアタリを取ったりすることができます。軽量なリグやルアーをしっかり投げてしっかり操作できるのでハイプレッシャーレイクでは必携のスピニングロッドです」

ブラックレーベル SG 641L+FS

全長:1.93m
継ぎ数:2 ※グリップジョイント仕様
仕舞寸法:171cm
重量:91g
先径/元径:1.5/10.8mm
適合ルアー重量:1.4〜9g
適合ライン:2.5〜6lb

今回の釣行では5本のBLXを駆使してナイスバスを釣り上げていった折金さん。それぞれのロッドの特性を正しく理解し、適材適所で使い分けることで、バスはもっと釣れるようになるはず! 『BLX』全49機種の中から、ぜひあなたのフィールドや釣り方に合った1本を見つけてみてください!

配信動画はこちら

今回の釣行の様子はYouTubeで配信中です。下記リンクからぜひご覧ください。本記事で紹介しきれなかった折金さんおすすめロッドも紹介しています。体を張った(?)折金さんのロッド解説は最後まで必見です!

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