維新の人気に便乗?!あなたは公認外“フェイク”候補を見抜けるか? 【都構想住民投票 きょう告示】

2度目の大阪都構想の住民投票が告示されました。

この大阪都構想を政策の柱とした国政政党「日本維新の会」、および地域政党「大阪維新の会」の所属、あるいは関係を装った公認外候補。地方ではまだまだ根強く出馬してきています。

今年になってからも、3月の広島県福山市の市議選、あるいは8月の大阪府箕面市の市議選、と登場しました。さすがに、「都構想」には、公認外の疑似候補は現れようがないのですが、新興政党にまつわる話として、少し振り返ってみます。

吉村洋文・大阪府知事Facebookより

今年、福山市で政治団体「福山維新の会」を名乗って市議選にでた男性候補2人(親子)は現職の父親が当選、息子は落選、また箕面市で選挙公報などに、「日本維新の会」に所属しているかのような記述や写真を掲載した女性候補は落選となりました。

「日本維新の会」は対策として、候補を立てなかった福山市議選では「立候補されている『福山維新の会』なるものは、わが『日本維新の会』とは全く関係ございません。当然、候補者の2名の方も無関係となりますのでお知らせします」と党の公式ツイッターに声明を出しました。

また、6人の公認候補者を送り込んでいた箕面市の市議選では「日本維新の会」は、このフェイク候補に選挙期間中、所属議員のツイッターなどからも有権者に注意を喚起するなど対策に苦慮している様子は伺えました。

箕面市の方は、さらに選挙期間中の8月半ば、「日本維新の会」の兵庫総支部が、地元の選挙区ではないにもかかわらず、ホームページ上に異例の文書を載せました。

現在でも、読める状態にあるその文書の中で、女性候補が「過去の兵庫県内の選挙で日本維新の会の公認候補であったことや、兵庫維新の会が主催した政治塾を卒業したことはありますが、現在は兵庫維新とは全く関りがありません」と記すなどしています。

箕面市は「日本維新の会」の地盤というべき、大阪府下の都市です。何重にもわたっての警告は、党の憤りの激しさは感じさせて余りあることではありました。

所属議員のSNSには、フェイク候補の黒幕、とされた現職の地方議員の名前も書きこまれるなど、激しい応酬のあったこの選挙は、「日本維新の会」の候補6人が全員当選し、フェイク候補は落選で、「日本維新の会」的には安どできる結果となりましたが、過去にも、いくつか大きな例があります。

日本維新の会代表 松井一郎・大阪市長(松井氏の公式ページより)

のちに、別の形で世界の注目さえ集める形となった、野々村元兵庫県会議員。野々村元議員は、2011年の兵庫県会議員選挙・西宮選挙区で、橋下徹氏(現タレント)率いる「大阪維新の会」と無関係だった政治団体「西宮維新の会」を名乗り立候補。当選しますが、それから3年後に、「政務活動費不正使用」が社会問題となり、“号泣会見”が、メディアやSNSによって世界中に広まることになりました。

また、2017年夏の奈良県奈良市議会議員選で松下幸治氏は、地域政党「日本維新の会」所属で、同団体の代表として出馬。ポスターには「日本維新の会公認」「最重点候補」、及び、当時、人気を集めていた東京都・小池百合子知事を想起させる「小池塾1期生」の記述も配しました。

そして、ポスターの隅に小さく「松下幸治代表の地域政党」と記すことで、国政政党「日本維新の会」と無関係を表わした、としました。この戦い方が実ってか、松下氏は最下位ながら、当選。

この時、松下氏に26票差で落選したのが、国政政党「日本維新の会」の公認候補であったため、当時、ワイドショーなどにも取り上げられたのを記憶されている方は少なくないのではないでしょうか?

ちなみに、松下氏とほぼ同じ戦い方で、同年の秋、京都府長岡京市の市議選でも立候補した人物が現れましたが、こちらは次点で落選となっています。

こういった行為なのですが、今、書いてきたすべての方の選挙戦法は、実は合法なのです。同じ「日本維新の会」をそのまま名乗った松下氏のケースでさえ、総務省によれば「既存の政党と同じ名称の政治団体の届け出は政治資金法で禁止されているものの、その政党が存在していない時期に届け出ているものは、名称使用に問題はない」ということだそうです。

かくいう、私も、ケースは違うのですが、党に無許可という点で、同じカテゴリーに入りそうなものを現場で見たことがあります。

2015年の統一地方選挙に都道府県議員レベルの候補として出馬した際、同時に行われた、私の選挙区地域の市議選挙に出られた無所属(私の所属していた政党からの推薦は受けていました)候補が、私の所属政党に無断で党の共同代表の顔入りポスターを作成し、勝手に街中に掲示したのです。

選挙戦の最中で、ましてや「味方」である候補の、公職選挙法には触れないレベルでの戦略でしたが、びっくりしました。党からは、選挙後、すみやかに撤去するように、の指示が私にもありましたが、選挙後に撤去するのは当たり前で、意味のない指示だな、と思ったことは記しておきます。

11月1日に迫った「大阪都構想」住民投票。これの成り行き次第では、今後も、国政選挙以外での選挙で、地域政党や新興の勢いある政党の公認外候補(フェイク候補)の登場の活発化がありえるのでは?という見方があるのも事実なのです。(オフィス・シュンキ)

© 選挙ドットコム株式会社