石木ダム住民敗訴確定 「納得できぬ」反対派怒り 「事業進めて」推進派安堵

石木ダムを巡る法廷闘争

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設の事業認定取り消し訴訟で、反対住民側の敗訴が確定した。最高裁の上告棄却に、反対住民は「何の言い分も聞かず、納得できない」と反発。一方、建設を望む市民は「一つの手続きが終わったということ。県は事業を進めてもらいたい」と冷静に受け止めた。

 反対住民は憤りをあらわにした。取り消し訴訟控訴審で意見陳述した石丸勇さん(71)は「何の言い分も聞かずに棄却されるのは納得できない」と決定を批判。「住んでいる土地が強制収用される全国的にも前例のない異常な状況なのに裁判所は『問題ない』と考えるのか」と、怒りをにじませた。
 ダムの水没予定地に住む岩下和雄さん(73)は「裁判の結果がどう出ようが反対の意思は変わらない。諫早湾干拓の開門確定判決に従わなかった県の姿勢を見習うつもり」と皮肉る。
 一方、推進派は安堵(あんど)の表情を浮かべた。佐世保市の市民団体「石木ダム建設促進佐世保市民の会」の寺山燎二会長は「こういう結果が出るとは思っていたが、安心した。一つの手続きが終わったということ。県は事業を進めてもらいたい」と要望。中村法道知事は「昨年11月の控訴審判決で認められた石木ダム建設事業の公益上の必要性について、(反対住民の)皆さまの理解が得られ、早期に協力いただけるよう努力を続けたい」とするコメントを出した。

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