脱押印で業務効率化 県内企業、電子契約で負担軽減

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電子契約サービスのデモ画面=HCS

 県内企業に手続きから押印を省くことで業務を効率化する動きが出ている。IT企業は金融機関向けに住宅ローン契約や預かり品の管理などを電子化するサービスを提供し、デジタル化を後押しする。ペーパーレスの電子契約は押印の手間がなく、印紙代も不要。北陸銀行では住宅ローンの新規契約者の8割が電子契約を選んでおり、顧客の負担軽減に役立っている。

 北陸コンピュータ・サービス(富山市婦中町島本郷、多賀満社長、HCS)は、ほくほくフィナンシャルグループ(FG)の北陸銀行と北海道銀行に、住宅ローン契約をペーパーレス化するサービスを提供する。契約書を電子化して押印や署名、印紙代の支払いをなくした。一般企業向けの電子契約サービスの展開も検討している。

 紙の契約書は課税対象となるため、1千万円超5千万円以下の契約で2万円、5千万円超1億円以下では6万円の印紙代が必要。1月にサービスを導入した北陸銀行では電子契約手数料として5500円を受け取るが、顧客は印紙代の負担がゼロになった。従来よりも契約に伴う支払額が減り、割安感が喜ばれている。

 インテックは銀行員が顧客から預かった通帳や現金を管理するクラウドサービスを提供している。営業支援システム「エフキューブ」のサービスの一つで、行員が預かった通帳などをタブレット端末を通じてシステムに登録する。押印の代わりに電子サインをもらう。

 保険業界は銀行以上に電子化が進んでいる。生命保険協会県協会によると、10年ほど前から契約にタブレット端末を使う保険会社が出始め、今では電子サインが主流になっている。北條賢治事務局長は「印影を照合する手間を省け、手続きがスムーズになる」と話す。

 東京商工リサーチ富山支店が9月にまとめたアンケート調査では、県内企業の31%が「はんこ文化」が在宅勤務やリモートワークの妨げになっていると回答している。押印のために出社することが問題視されており、新型コロナウイルス禍を契機に旧来の慣習を見直す機運が高まっている。(熊谷浩二)