プロ初本塁打が初球先頭打者弾 ロッテ藤原に専門家が唸った「センスの良さ」とは?

ロッテ・藤原恭大【写真:荒川祐史】

ここまで打率.364と活躍「十分1軍レベルに達している」

■楽天 4-1 ロッテ(14日・ZOZOマリン)

チームの緊急事態に、期待の若手が頭角を現した。プロ2年目、20歳のロッテ・藤原恭大外野手が14日、本拠地ZOZOマリンスタジアムで行われた楽天戦でプロ初本塁打を放った。「1番・左翼」で先発出場し、初回、楽天先発・涌井の初球の143キロ速球を右翼席中段へ運ぶ先制弾だった。

2018年、現中日の根尾らとともに大阪桐蔭高を春夏連続全国制覇に導いた藤原は、ドラフト1位でロッテ入りしたが、1年目の昨季はわずか6試合出場、19打数2安打、打率.105に終わった。今季は開幕から2軍暮らしが続いていたが、主力選手が新型コロナウイルスに感染し大量離脱したことをうけて、今月6日に緊急昇格。4打数2安打1打点のこの日を含め、今季6試合に出場し、22打数8安打3打点、打率.364と予想を超える活躍を見せている。

元ヤクルトの名外野手でゴールデングラブ賞7度、盗塁王1度を誇る飯田哲也氏は、「本塁打は、涌井がマウンドで足を滑らせてバランスを崩し、真ん中に来た球でしたが、藤原の思い切りの良さが光りました。昇格後これまでのプレーは、十分1軍レベルに達しています」と指摘する。

3回1死走者なしの第2打席では、ワンバウンドしそうな低めのシンカーを拾い、中前へ運ぶ技ありのヒット。飯田氏は「ボール球ですから、ほめられた打ち方ではないが、センスの良さを感じた」と評した。

3回に三塁を陥れたタッチアップに飯田氏は注目「咄嗟にスタートを切ったのだとすれば…」

走塁でも見どころがあった。3回のヒットの後、加藤の死球で二塁へ進塁。続くマーティンの打球はセンターの定位置付近への中飛だったが、藤原は思い切りよくタッチアップで三塁を狙った。微妙なタイミングだったが、中堅手・田中の送球が藤原の左手に当たり、まんまと三塁を陥れた。

この場面を飯田氏は「手に当たっていなければ、アウト。次の打者は4番の安田でしたから、無理をする場面ではなかった。ただ、中堅手の田中が送球態勢を取らずにボールを捕ったのを見て、咄嗟にスタートを切ったのだとすれば、大したものですよ」と指摘した。

5回1死二塁で迎えた第3打席。空振りした2球目のストレートは、涌井のこの日のMAX148キロを計測した。「涌井が明らかにギアを上げたシーンでした。球界を代表する右腕を本気にさせたのだから、藤原にとって収穫でしょう」と飯田氏。7回の第4打席で、内角低めのスライダーに空振り三振を喫したあたりは、プロ16年目の貫録を見せつけられた格好だ。

限りない可能性を感じさせる藤原のプレー。降って湧いたような1軍昇格だったが、転がり込んできたチャンスを手放しては、プロとして生き残れない。鳴り物入りで入団してきた期待株が、このままスターダムにのし上がるか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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