70代 技術継承に一役 ながさき高年齢者雇用推進フォーラム アパレルオオタの事例

定年制廃止などの取り組みを紹介するアパレルオオタの太田常務=県庁

 高齢者が生き生きと働く社会実現を目指す「ながさき高年齢者雇用推進フォーラム2020」が14日、長崎県庁であった。2019年度に国の高年齢者雇用開発コンテスト厚生労働大臣表彰特別賞を受けた、縫製業のアパレルオオタ(南島原市)が、70歳以上の従業員が戦力として活躍し、知識や技術の継承につながっている事例を紹介した。

 県内の65歳以上の雇用を促そうと、高齢・障害・求職者雇用支援機構長崎支部、県、県中小企業団体中央会が毎年開催。講演や事例報告に県内の事業主や雇用担当者ら約70人が参加した。
 アパレルオオタの太田満常務(44)は事例報告で、「ベテランが長年培った経験、技術、知識はお金で買えない」として、19年度に定年制を廃止したことを紹介。高齢者が勤務しやすいよう短時間勤務を導入、ミシンの手元に照明をつけ、職場のバリアフリー化を図るなど環境を整えた。本社工場の従業員約120人のうち70歳以上は6人。ベテラン従業員は若手の手本として技術を伝え、外国人研修生の親代わりとして面倒を見ているという。
 長崎労働局は県内の19年度の高齢者雇用状況を説明。65歳まで定年を引き上げたり、希望者全員を65歳まで継続雇用するなどの雇用確保措置を実施している県内企業(従業員31人以上)の割合は、昨年度から0.6ポイント下落し99.1%だった。全国平均は99.8%で、都道府県別では最下位。このほか、長崎市の特定社会保険労務士、要正光さんが、高齢者を戦力化するための制度について講演した。

 


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