和室収納のコツ。和室をすっきりモダンな雰囲気にする収納棚選びと押入れ収納アイデアを実例付きで紹介

和室をすっきりモダンな雰囲気にするには、収納棚や収納方法について多くのパターンを知っていると役立ちます。今回は、ひとり暮らしでも簡単に取り入れられる、和室にマッチした収納棚の活用スタイルや、押入れ収納の便利なアイデアを実例付きで紹介します。

和室に収納を取り入れる方法は主に3パターン

和室に収納を取り入れる方法は、「収納棚の設置」「床下の収納スペース増設」「壁面収納の導入」の3パターンです。部屋の広さや収納する物の多さなどに合わせて選びましょう。

パターン①収納棚を設置する

和室に収納棚を設置する場合は、高さの低い家具が適しています。定番なのは、カラーボックスを横にして置くスタイルです。引き出し式にすると、子供でも中身を取り出しやすくなります。

高さの低い家具がおすすめ

収納力だけを考えると、高さのある家具が優れていますが、収納力とともに部屋の雰囲気を考慮した場合は、高さのある収納棚を選ぶのは望ましくありません。これは、高い棚が室内に圧迫感を与える可能性があるためです。和室は洋室ほど広さがなく、天井も高くありません。狭い空間に背の高い家具を置くと、部屋がさらに狭く感じられます。

あまり広さのない和室を、少しでも開放的な空間に見せるためにも、背の低い家具を活用しましょう。目線を遮らない程度の高さなら、部屋に設置しても圧迫感を生みにくくなります。棚は収納力も大切ですが、狭い和室に設置するときにはサイズにも配慮しましょう。

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定番のカラーボックスは「横」に設置

和室の収納棚としてカラーボックスを取り入れる時は、横にして置くのがポイントです。収納棚の種類は、大きく縦長タイプと横長タイプに分かれます。背の低い横長タイプは棚の上がデッドスペースになり、収納力の面では縦長タイプに劣る傾向があります。

それでも、横長タイプは部屋の雰囲気づくりに効果的です。棚の上にはインテリアや小物を置くスペースとしても活用できます。また、和室の多くは、低めの位置に窓が取り付けられています。窓を覆わない高さの横長タイプの棚は、外から射し込む日光を遮る心配がありません。

横長タイプに限らず、棚探しでよくある問題は、なかなか設置場所に合うサイズのアイテムが見つからない点です。カラーボックスはサイズの展開が多いため、和室に横置きしたいときにも重宝します。カラーバリエーションも豊富なため、和室を自分好みに演出することができます。

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子供でも取り出しやすく、片付けやすい「引き出し式」に

和室をキッズスペースとして活用する場合、おもちゃを入れる収納棚は、低めの家具を引き出し式にして使うと便利です。背の高い棚は収納力があっても、身長の低い子供にとっては使いにくくなります。使い勝手を考えるなら、収納棚も背の低いタイプを選んだほうが無難です。お子さんの身長を測って、背丈に合ったサイズを購入しましょう。

また、子供がおもちゃなどを出し入れする手間を考えると、棚は引き出し式がおすすめです。元々引き出しが付いていない棚でも、サイズに合わせたバスケットやボックスを設置することで、引き出しに代用できます。整理整頓が苦手なお子さんも、バスケットやボックスにおもちゃを無造作に入れられます。引き出しの中身が雑然としていても棚に収納すれば周りからは見えないため、見た目も問題ありません。

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パターン②床下に収納スペースを増やす

和室の広さなどの問題で、棚を設置するのがためらわれる場合は、床下に収納スペースを増やす方法もあります。マンションでもリフォームして収納を増設できる可能性があるため、検討してみましょう。

マンションでもリフォーム可能な「床下収納」

収納家具を設置すると、その分スペースを取ってしまう。床下収納なら、広さをそのままに「隠す収納スペース」を確保できる

床下収納は、その名の通り部屋の床下部分を収納スペースに活用する方法です。床下を収納空間として使うには、収納ボックスを埋めるタイプや床の高さを変える方式があります。収納ボックスを床下に埋めるタイプでよく見られるのは、畳が扉として機能するパターンです。収納ボックスには、深型タイプや薄型タイプがあります。

床の高さを変える方式では、床を30~40cmほど高くし、小上がり空間に生み出された隙間を収納スペースに利用するケースが一般的です。同じ収納ボックスでも、深型タイプは通常であれば1階の和室にしか設置できません。薄型タイプは、部屋の階数に関係なく施工可能です。マンションであっても床の高さを変えるリフォームは可能です。費用を無駄にしないためにも和室の条件に合ったタイプを選んでください。

パターン③壁面収納を取り入れる

部屋の壁面は、和室に限らず収納スペースに使える場所です。さまざまな工夫を凝らすことで、床から天井までの広い範囲を有効活用できます。

長押(なげし)を活用して、掛ける収納を

和室の特徴である「長押」を活用。フックやハンガーを掛けて、お気に入りのアイテムをディスプレイして 「見せる収納スペース」に

和室の壁面で着目したい部分が、長押(なげし)です。上手に活用すると、掛ける収納で空間をおしゃれに演出できます。長押とは、昔から和室の柱を固定するために用いられてきた部材です。建築方法の進歩により本来の役割は失われていますが、徐々に装飾的な意味合いが強まり、現在も和室に欠かせない存在です。

長押は壁から飛び出す形状をしており、フックやハンガーを簡単に引っ掛けられます。バスケットやかごを長押のフックに掛けると、壁面は便利な収納スペースに活用できます。フックの耐重量内であれば、さまざまなものを吊り下げられます。和室で見せる収納を取り入れるなら、長押を活用しましょう。

押入れの特徴を活かした、賢い収納術

押入れは、和室の代表的な収納スペースです。その特徴を上手に活かせば、多くの生活用品を賢く片付けられます。

押入れは「上段」「下段」に分かれている

押入れの「上段」「下段」と分かれた特徴を上手に活かすと、ストレスフリーな効率いい収納が実現

押入れの多くは、「上段」と「下段」に分かれています。上下で収納物の種類を区別すると、見栄えよく、効率よく片付けることができます。

上段は軽い物、下段は重い物を収納する

押入れ収納の基本は、収納物の重さで上段と下段を使い分けることです。上段は軽いもの、下段は重いものを収納します。押入れの上下段を分ける仕切りは、必ずしも強度が高いわけではありません。薄いパネル程度の板材が1枚だけという場合もあります。通常、仕切り板は梁材で支えられていますが、不用意に重いものを置くと破損してしまいます。

安全性を考えた場合、上段には軽いものを置いたほうが無難です。対して、押入れの下段は部屋の床の延長です。多少重いものを置いても、簡単に床下が抜ける心配はありません。収納物に重いものが含まれているときには、下段に片付けたほうが安心です。押入れの収納場所に迷った際は、まず「重さ」を基準に上段と下段で分けてください。

押入れの収納アイデアをもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

【押入れ収納術】出し入れ簡単で、しかもオシャレに見える収納アイデアとは?

たたまずに衣類を収納できるハンガーラックを設置

押入れ・クローゼットハンガーラック ヴェルサ (ニトリ公式通販 ニトリネットより)

押入れにハンガーラックを設置すると、衣類をたたまずに収納できます。衣類を引き出しなどに収納する場合はたたむ手間がかかりますが、ハンガーラックを活用すれば家事の負担軽減になります。ハンガーラックには、さまざまなタイプが販売されています。サイズ調節ができる伸縮式は、ジャストサイズで押入れに設置することができます。

つっぱり棒を活用するアイデアも、手軽で人気です。押入れの両壁に伸ばすだけで、ラックとして使えます。落下防止のために、強度の高いタイプを選びましょう。ハンガーに吊るしておくと、服のシワもできにくくなります。手間をかけずに衣類をきれいに保管するなら、押入れにつっぱり棒を張ったハンガーラックがおすすめです。

押入れのハンガーラック活用法については、こちらの記事も参考にしてください。

【押入れ収納】ハンガーラックでクローゼットに早変わり。選び方のコツを伝授

押入れの奥行きは「使用頻度」を考えて収納

押入れの奥行きが広いときには、使用頻度に応じて収納場所を分けましょう。奥行きも上手に使った収納方法を紹介します。

普段使用しないものを奥に、頻繁に使用するものを手前に収納

押入れの収納場所を使用頻度で区別する場合、普段使わないものを奥に、頻繁に使うものを手前に収納しましょう。ほとんど使わないものは、取り出す機会は滅多にありません。押入れに奥行きがあり手の届きにくい場所に置いたとしても、不便には感じません。

頻繁に使うものは、押入れに収納しても毎日のように取り出すことになります。手前に収納しておけば、周りにいろいろ置いてあっても邪魔にはなりません。取り出しやすさを考慮したうえで、使用頻度の高いものほど手前に収納しましょう。

押入れ下段に収まる収納ケースや衣装ケースを

収納ケースや衣装ケースは、押入れ収納で活躍するアイテムです。衣類は季節に応じて買い揃えると自然に数が増えていきます。引き出しから溢れた衣類を衣装ケースに入れて、押入れに片付けることも可能です。多くの押入れは、上下段を合わせた高さと間口(横幅)の寸法が、いずれもほぼ6尺(約180cm)です。

収納物を出し入れする際、押入れの扉は片側だけ開けるため、横幅のスペースは90cmほどになります。また、下段の収納スペースの高さは約75cmです。衣替えなどで重いケースを動かすときには、キャスターが付いていると作業がスムーズになります。

天袋がある押入れには、来客用の布団を収納

普段使用しない来客用の布団などの収納は、押入れの「天袋」が最適。IKEAのスクッブシリーズは、布団や衣類収納におすすめのアイテム

来客用の布団を家族の布団と一緒に入れると、収納スペースは狭くなります。その場合は、押入れの天袋に来客用布団を収納しましょう。天袋は、押入れ上部に設けられた収納戸棚です。天井近くに位置するため、日常的に使うものの収納には不向きですが、普段使わない来客用の布団であれば、収納しても不便はありません。

収納時の見た目を考えるなら、布団の入る大きな袋を活用する方法があります。IKEAのスクッブシリーズは、布団収納に適したつくりで、収納物や用途に応じてサイズを選べば、見栄え良く片付けるのに効果的です。

布団収納についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。

【布団の収納アイデア】クローゼットや押入れの収納方法。「見せる収納方法」も紹介

《参考》和室にクローゼットがある場合

和室にクローゼットがある場合も、押入れと同じように使い方を工夫すると収納力アップにつながります。とくに引き出しのあるチェストを使うのがおすすめです。

引き出し収納ができる「チェスト」を設置すると便利に

クローゼット収納は、チェストを設置することで、掛ける収納に加えてたたむ収納も可能になります。同じチェストを使うなら、引き出しタイプがおすすめです。一般的なクローゼットにはバーが備わっているため、衣類を掛けて収納することができますが、量が多いと、スペース不足になる可能性があります。

チェストがあると、衣類をたたんで収納することもできます。ふたつの方法を組み合わせて収納スペースを上手に使い分ければ、クローゼットの収納力を高めるのに効果的です。チェストは積み重ねることも多いため、引き出しタイプのほうが使い勝手が良くなります。

クローゼット収納アイデアをもっと知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

【クローゼット収納術大全】上段や押入れもしっかり活用する方法とは?

和室を快適にするおしゃれな収納術【実例編】

収納方法を工夫すると、和室に快適空間をもたらします。以下では、おしゃれな収納術の実例をいくつか紹介します。

小上がりの和室の下を収納スペースに活用

sakim1128 さんのインスタグラムより

和室の床下に小上がり空間をつくり収納スペースとして活用したケースです。畳を敷いた和室側の床面を高くすることで、床下収納できる構造になっています。隣室との境界部分であるため大きな段差はつけられませんが、ある程度までは背の高いものを片付けられます。

収納スペースはいくつかに仕切られており、収納物を分けて入れられます。収納部分の色調をフローリングに合わせているため、違和感もありません。すぐ横に和室の畳が並びますが、どちらも派手な色使いでなく落ち着いた印象を受けます。小上がりの収納が、和モダンな空間づくりにもつながっています。

子供用の和室収納は目線は「低く」、色合いは「ナチュラルウッド」に

子供部屋には、子供の目線に合わせて収納に背の低いアイテムを活用します。カラーボックスは横に置き、それぞれの仕切りスペースにはサイズの合った収納ボックスを設置。これなら、小さなお子さんでも簡単に出し入れ可能。家具の色合いは、本棚やテーブルからおもちゃなど、ナチュラルなものを選びましょう。主張しすぎずシンプルな色調で、壁の色とも調和します。ナチュラルウッドな家具と明るい室内で、お子さんも楽しく過ごせそうです。

押入れ下段にはキャスター付きの収納棚で可動式に

ai9_710 さんのインスタグラムより
fuji.hausさんのインスタグラムより

上の写真の押入れは、上段と下段に分かれている押入れです。上段の布団を収納して余ったスペースにラックを設置して、ファイルボックスで細々したアイテムを整理されています。下段にはキャスター付きの引き出しを置いて移動もスムーズ。さらにカーテンで目隠できるのもポイントです。

下の押入れは三段のタイプ。つっぱり棒でシワになりやすいシャツなどを掛けて収納しています。いずれの押入れの収納アイテムも白が基調で、全体が明るく落ち着いた空間にまとまっています。和室収納で悩んだ際は、ホワイトやベージュなど、まとめやすいカラーの収納グッズを試してみましょう。

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