整備進む長崎市恐竜博物館 “地元産”化石など展示

常設展示室のうち「恐竜の時代」の展示イメージ図(長崎市教委提供)

 長崎市が同市野母町に建設している「長崎市恐竜博物館」は、来年10月29日予定の開館まで約1年となった。立地場所の長崎半島では、2004年の草食恐竜の化石発見以来、ティラノサウルス科の大型種としては日本で初めて見つかった歯の化石(14年)など、多彩な化石が次々と発掘されている。同館の展示はこうした“地元産”の化石を中核に、地球誕生以来の「はるかな過去の長崎」を探求する内容となる。
 計画では、同館は鉄筋コンクリート造一部2階建て、延べ床面積は1階2401平方メートル、2階193平方メートル。常設展示室(1、2階計844平方メートル)、企画展示室(1階500平方メートル)を中心に、収蔵庫や研究作業室、化石クリーニング室などを整備する。総事業費約21億円。
 常設展示は「長崎の大地」「生命の記録」「恐竜の時代」「現代の恐竜たち」「燃える石の時代」-の5テーマで構成。地球の成り立ちから恐竜の誕生と進化、絶滅、その後の生物の進化まで学べる。実物の化石や、世界最大級のティラノサウルスの全身骨格化石(複製)などを展示。動くティラノサウルスのロボットなども導入する。
 「鳥」や「石炭」について理解を深めるコーナーも。鳥類は恐竜から進化したとされ、古代とつながる生物だ。また、石炭は恐竜絶滅後の大昔に生えていた植物が変成してできた物質。長崎半島の化石は1960年代、同館から姿が望める端島(軍艦島)などでの石炭採掘をきっかけに、見つかり始めた経緯もある。
 一方、研究作業室などの調査研究施設では、実際に化石の調査や保存管理が行われる予定。オープンラボとして公開され、発掘などの疑似体験もできる。
 同館は2017年に田上富久市長が建設方針を表明。18年に同町での建設を決め、施設規模や展示に関する基本計画を策定。本年度建設に着手した。隣接地に整備する「恐竜広場」や、近くの市軍艦島資料館などを含めた「長崎のもざき恐竜パーク」を指定管理者が運営する計画。同館建設と並行して、一帯では関連する整備工事も進んでいる。
 開館すれば、恐竜専門の博物館として国内3カ所目となる。市は年間約12万人の来館を目指す考え。市教委恐竜博物館準備室は「長崎半島は九州最古級の岩石や珍しい恐竜化石が出ており、恐竜がいなくなった後も石炭を産出するなど、はるか過去からの自然史が豊かな場所。恐竜博物館は、長崎にとってこれまでにない教育、観光資源になる」としている。

建設が進む長崎市恐竜博物館(左)や「恐竜広場」の予定地=長崎市野母町
常設展示の主な内容

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