独特の配色センス 自閉スペクトラム症の吉田さん 原画販売展を初開催

作品の前に立つ吉田さん=佐世保市、てとて舎

 対人関係などに困難を抱える自閉スペクトラム症がある長崎県佐世保市原分町、吉田憶人さん(20)の初の原画販売展が、同市下京町の雑貨屋「てとて舎」で開かれている。作品が売り切れ次第、終了する予定。
 自閉スペクトラム症は、対人関係が苦手だったり、言葉でのコミュニケーションが難しいなどの特徴がある。
 吉田さんは、2歳ごろから自然と絵を描き始めた。気持ちを言葉で表現する代わりに、暇さえあればペンを握り、好きなアニメのキャラクターなどを黙々と描いて遊んでいた。2012年から通い始めた同市内の絵画教室でコンクールなどにもたびたび出展。18年には佐世保市民展で奨励賞を受賞するなど年々力を付けている。
 昨年、同市熊野町の障害福祉サービス生活介護事業所「のびのび熊野」に入所。仕事として創作活動に励んでいる。同事業所職員の田島雅代さんは「仕事となればストレスも出てくるが、そのぶん、自由な時間に絵を描くことで発散している。彼の中で絵はなくてはならない存在なのだと思う」と笑顔で話す。
 会場では、米ポップアートの巨匠、アンディ・ウォーホルの作品を色鉛筆でオマージュしたものなど、色鮮やかな作品約15点を展示販売。下描き無しで引かれた迷いのない線と、独特の配色センスで表現された作品が並ぶ。価格は2500円~4千円。既に6点は売約済み。問い合わせはてとて舎(電0956.76.8266)。

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