「毎回になりますが…」 中嶋監督代行の言葉に凝縮されたオリックス負け越しの理由

オリックス・中嶋聡監督代行【写真:福谷佑介】

前日のV完全消滅に続き…西武戦は拙攻で残り19試合を残して負け越しが決まった

■西武 2-1 オリックス(16日・メットライフ)

パ・リーグ最下位を低迷するオリックスは16日、敵地メットライフドームで西武に1-2で敗れ、残り19試合で今季負け越しが決まった。リーグトップの打率.350(成績は同日現在、以下同)を誇る吉田正とリーグトップの防御率2.18の山本を擁しながら、浮上の兆しさえ見えない現状はなんとももどかしい。

「序盤にもらったチャンスを生かせなかったところですね。毎回チャンスをものにできるわけではないですけど、なんとか点を取らなければいけなかったと思います」。中嶋監督代行が試合後にコメントした通り、この日も今季を象徴するような拙攻ぶりだった。

相手の先発・今井は立ち上がりから、明らかに制球に苦しんでいた。1回、先頭の福田は1球もストライクが来ないまま四球。続く佐野のカウントも3-1となった。ところが、続く5球目に一塁走者の福田がスタート。佐野は見送れば四球だったのではないかとも思える外角球を空振りしてアシストしたが、福田はあえなく捕手・森の送球に刺され、みすみす先制のチャンスを潰した。

4回無死一、二塁の好機も、主砲・吉田正が放った痛烈なライナーが相手の二塁手の正面をつき併殺。結局、得点は6回に相手投手の代わり端をとらえた1点のみに終わった。

リーグ3位のチーム打率.248も380得点はリーグ最下位

今井から6回途中までに6四球を得ながら生かせなかった攻撃はいただけない。リーグトップのチーム81盗塁が示すように、積極的なスチールはオリックスの持ち味だが、相手を助けるような盗塁失敗はいかにももったいない。チーム打率.248はリーグ3位で決して低くない。それでいて、総得点がリーグで唯一300点台(380)にとどまっているのは、効率の悪い攻撃を繰り返している証しだろう。

一方、今季開幕投手でもある先発の山岡は、「相手に『来年のオリックスは嫌なチームになりそうだ』という印象を与えることが大事だと思うし、『来年は手強そうだ』と思わせるピッチングをしたい」と意欲を示してマウンドに上がり、6回6安打1四球2失点の力投を演じたが、報われなかった。中嶋監督代行は「山岡はゲームの形を作ってくれました。毎回になってしまいますが、なんとか援護をしたかったです」と悔やんだ。

前日(15日)に今季優勝の可能性が完全消滅し、この日は負け越し決定。中嶋監督代行は「ネガティブな数字が並んでしまいますが、どうやって前を向いていくかが大事だと思います」と言う。

西村前監督が16勝33敗4分(勝率.327)の不振の責任を取って辞任し、2軍監督から昇格した中嶋監督代行の下では21勝25敗2分(同.457)。数字は改善されているとも言えるが、黒星先行には変わりがない。残り試合で、どれだけ来季へ向けて光明を見出せるか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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