大映ドラマの主題歌は洋楽カヴァーで決まり?
みなさん、大映テレビをご存知でしょうか?
70年代は山口百恵の『赤い~』シリーズ、80年代は『噂の刑事トミーとマツ』などの作品で人気を博したテレビドラマの制作会社です。特に1983年の『スチュワーデス物語』以降、TBSとフジ系列のゴールデン枠でヒット作を連発。
大げさな台詞と過剰演出、起伏の急激なストーリー展開など、その特徴的な作品性をもって『大映ドラマ』といういちジャンルを確立しました。
そして、その『スチュワーデス物語』から続く一連の作品にはもう一つの特徴がありました。
それは “海外アーティストの楽曲が日本人によるカヴァーで主題歌になる” ということ。TBS系では主に麻倉未稀が、フジ系では椎名恵が担当することが多く、そのほとんどの曲がヒットしましたが、そんな大映ドラマの “海外カヴァー主題歌ヒット” を紹介していきたいと思います。
きっかけは、堀ちえみと風間杜夫の「スチュワーデス物語」
まずは、そのきっかけとなった『スチュワーデス物語』。
「ドジでノロマなカメ」「教官!」といった流行語を生んだ堀ちえみ、風間杜夫主演の大ヒット作です。この作品の大ヒットにより、80年代大映ドラマの新しいパターンがはじまったとも言えましょう。
主演の堀ちえみには個人的な思い入れはありませんでしたが、キャスティングとしてはひときわ浮いていた春やすこ(漫才師)が気になって仕方ありませんでした。だっていつもの大映ドラマらしからぬキャスティングだし、その関西弁がなんか変だったんですもん。
そもそも、この少女漫画的要素を含むベタな展開のドラマをゴールデンタイムに家族と一緒に観るはずもなく、個人的にもあまり興味を持っていませんでしたが、視聴率は高かったし、流行語も生んだのでその存在は知ってました。学校で話題にする生徒も多かったです。
そんな “食わず嫌い” な私がちゃんと観たのは夕方の16時頃にオンエアしていた再放送。あまりにベタな展開を小馬鹿にしつつも “観てしまう” んですね。
何となく先が読めるんだけど、その突っ込みどころ満載なシーン、シーンにちゃんと突っ込みをいれてしまう。そして気が付けば次回も観ている。恐るべき大映ドラマの術中に見事にはまってしまうのです。
映画「フラッシュダンス」の主題歌を麻倉未稀がカヴァー
で、音楽の話。
主題歌の原曲は映画「フラッシュダンス」の主題歌、アイリーン・キャラの「ホワット・ア・フィーリング」。これは映画館に観に行った大好きな作品だったので勿論知っていましたが、当時はあまりにもこのドラマがヒットしたので、国内では『スチュワーデス物語』の歌として認識されてました。
「フェイム」というミュージカル映画の主題歌も歌っていたアイリーン・キャラのリズミカルで伸びやかな歌唱と比べ、どこか体育会的でハードな歌唱を聴かせる麻倉未稀。どちらも映画、ドラマにそれぞれフィットしていたと言えるのではないでしょうか。
80’sのヒット作には欠かせないジョルジオ・モロダー
原曲をプロデュース・作曲したのはジョルジオ・モロダー。エレポップディスコの始祖でイタロディスコの雄ともいえる人ですが、「フラッシュダンス」の他にも「トップガン」「オーバー・ザ・トップ」などのサントラを手掛けるなど80’sのヒット作には欠かせない人です。
ちなみに『スチュワーデス物語』では、挿入曲として風間杜夫がサバイバーの「アメリカン・ハートビート」を「100℃でHEARTBEAT」としてカヴァーしていて、こちらも必聴。当時34歳の風間杜夫。教官、いかしてます!
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※2016年8月11日に掲載された記事をアップデート
カタリベ: DR.ENO