「第3水陸機動連隊」誘致に3市が火花 佐世保、大村、五島 地域活性化に期待

離島防衛訓練に臨む水陸機動団の隊員=2019年4月、佐世保市の陸自相浦駐屯地

 陸上自衛隊水陸機動団に新編される予定の「第3水陸機動連隊」を巡り、佐世保、大村、五島の3市が誘致に名乗りを上げている。県も県内への誘致を後押し。背景には連隊を呼び込むことで人口増や地域活性化につなげたいとの思惑が透ける。
 同機動団は、国内初の離島防衛部隊として2018年3月に発足。佐世保市の相浦駐屯地に本部と2連隊などが置かれ、大分県の部隊なども含めると隊員数は約2400人に上る。国は23年度までの中期防衛力整備計画で、水陸両用作戦強化に向け、三つ目の連隊を新設する方針。
 第3連隊の隊員数は約600人と見込まれる。これに家族まで含めれば千人規模。関係者は、誘致による地域への経済効果に期待を隠さない。
 団本部がある佐世保市。地勢的にも配備が「最適」として、8月に防衛省に誘致を要望。年度内に再度の陳情を目指す。朝長則男市長は「団の新編で2千人以上の隊員が集まり、家族も含めるとこの2、3倍が移住したと思う。大きな経済効果がある」と話す。
 佐世保と同じく自衛隊の町である大村市も熱視線を送る。同市では昨年度、陸自竹松駐屯地の隊員約200人が宮古島駐屯地(沖縄県)に移駐。地域活力の低下を防ぐため、市や市議会、経済団体などは7月に期成会を設立し「オール大村」で誘致を狙う。竹松駐屯地の空き施設の活用や隣接する海自大村航空基地との連携など利点を強調。園田裕史市長は「市民の安心安全にもつながる」と訴える。
 五島市は、野口市太郎市長が9月の市議会で誘致を表明。毎年、同市の海岸や無人島で機動団の訓練を受け入れた実績を上げる。「『離島防衛』といいつつ、離島に部隊がないのはおかしい」と野口市長。ただ、同市には陸自の拠点がなく、新たに施設を整備しなければならないのがネックになりそうだ。
 3年前の17年にも、中国や北朝鮮との緊張が高まり自衛隊の体制強化が叫ばれた際に誘致が活発化。この時は3市に加え、対馬市と壱岐市も名乗りを上げた。今回、新連隊の誘致はしていないが、両市とも自衛隊部隊の配備・増強は求めている。

 一方、県も誘致に向け力を入れる。8月、中村法道知事が防衛省を訪れ、河野太郎前防衛相に要望書を手渡し、県内への設置を求めた。
 要望書は(1)南西諸島の有事の際、長崎県だと即応性が高い(2)団本部と2連隊が佐世保にあり、指揮統率が容易(3)大村市の既存施設が使える(4)陸自オスプレイの最終的な配備予定地の佐賀空港から近い(5)離島があり訓練環境が整っている(6)地域住民の理解が得られている-の6点をアピール。河野前防衛相は「前向きに検討させていただく。有力候補地の一つ」と回答したという。
 第3連隊を巡っては、北海道千歳市も誘致運動を展開。関係者は「この1、2年の間に配備地が決まるだろう」との見方で一致している。

第3水陸機動連隊の誘致を目指す3市

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