「人生を左右する」育成契約か、新たな道か…元ロッテ・島孝明が選んだ選択

元ロッテ投手の島孝明さん【写真:本人提供】

連載第1回『島孝明のセカンドキャリアーBrand New Daysー』スタート

こんにちは、元ロッテ投手の島孝明です。私は昨オフに育成契約の打診を受けたことを機に、現役引退を決意し、今年から國學院大学に入学しています。今回、Full-Countで連載をさせていただけることになり、自身が現役時代に感じたことやセカンドキャリアをどのように歩んでいっているのかなどを発信していきたいと考えています。『島孝明のセカンドキャリアーBrand New Daysー』。1回目は私がなぜ大学に進むことを決断したのか、その経緯についてです。

私は千葉・東海大市原望洋から2016年のドラフト3位で、千葉ロッテマリーンズから指名を頂き、2017~19年までの3年間、プレーしました。大学で学びたいと思ったきっかけは貴重な出会いがあったからでした。

プロの世界に入ってから影響を受けたことの一つに外国人選手との出会いがあります。1年目にM・ダフィー内野手との交流を通じ、英語に関心を抱くようになりました。

ダフィーとはロッカールームが隣だったこともあり、共通の趣味であったネットフリックスの話などをよくしていました。もちろん、自分は拙い英語でしか伝えることができませんでしたが、ある程度は理解し合えていたと思います。

残念ながら彼は1年で日本を去ることになってしまいましたが、交流を通じて芽生えた英語に対する興味はその後も消えることはありませんでした。

ダフィーとの出会いから、日本にはない文化や価値観に触れることは、自分の人生を豊かで煌びやかなものにしてくれると感じました。そのためにも、英語を学び、バリエーションに富んだ表現力を身につけたいと思っています。再び、ダフィーと会うことがあれば、当時の思い出話など以前よりも深い話をしたいです。

育成契約の打診を受けた時、私の中では二つの選択肢が生まれました。このまま現役を続けるのか、それとも野球とは関係のない全く違うことをするのか、当時の私は今後の人生を大きく左右する重大な決断を迫られていました。

支配下選手登録から、育成契約へ切り替えるにあたり、一旦は自由契約選手となります。そのため、日本プロ野球選手会から、セカンドキャリアに関するいくつかの資料が私の元に届きました。その中の一つに、退団者向けのセミナーを開催するといった情報がありました。

そのセミナーには同じく元プロ野球選手の方が複数招かれ、現在どういったことをしているのか、引退してからの暮らしぶりなどをお話ししてくださいました。その他にも、様々な企業の人達も参加しており、個別で相談を行ったりしていました。その中で、海外大学への進学を斡旋している方とお話しする機会がありました。そこで私は英語を学んでみたいと強く思いました。

大学進学は野球一色だった自分を大きく変えてくれた

当時、漠然とした考えしか持っていなかった状況の中で、海外大学の選択肢があることを知り、曇っていた視界が一気に晴れ渡っていきました。

英語を学ぶことを決意した自分は、海外進学についてもっと詳しく知るためにネットで調べたり、様々な人に聞いて回りました。しかし、青春を野球に捧げてきた自分には、あまりにもハードルが高すぎることを思い知りました。

それでも、英語を諦められない自分は日本の大学を探し始めるのですが、時は既に11月、加えて高校卒業してから3年もブランクのある自分が、まともに受験をして受かる見込みはほぼないため、AO入試に限定して探すことにしました。しかし、7・8月の段階でほとんどの大学がAO入試を終えている状態でした。

知人から、順天堂大学の国際教養学部が12月14日にAO入試を行うことを教えてもらい、早速準備に取り掛かりました。しかし、不合格となり別の選択を迫られました。

実は、選手会から届いた資料の中には國學院大学の情報も入っていました。健康体育学科の募集で体育やスポーツについて学び、保健体育の教職員またはスポーツ指導者を目指すといった内容のものでした。

順天堂を不合格になった後、英語だけ学んでもその先に繋がることが限られてしまうのではないかと考えるようになりました。自分の可能性を広げることも大学へ行く目的の一つとしてありましたので、この國學院大の選択肢は自分にマッチしていると感じました。英語に絞っていた自分は当初、関係がないと見過ごしていたのですが、結果として最適な選択ができたと思っています。

現在は、中・高保健体育の教職課程を取りながら、英語の学習にも励んでいます。大学からの課題も多く、多くの時間を英語に使えるようにするには1日の時間をどう使うか常に考え効率的に取り組むことが重要になってきます。またその中で、良い成績を取るための工夫も忘れてはなりません。

野球一色だった環境を大きく変え、未知の世界を進んでいる最中ですが、誰も知らない自分の未来を切り開くものは「常に自分が正しいと思う決断」を繰り返すことではないかと思います。未来の自分が今の決断に後悔しないか、また後悔しないために今、どのような行動をするべきなのか。一度、自分自身との対話を通じて考えてみるのも良いかもしれません。(島孝明/Takaaki Shima)

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