名作古典ルアー『ビッグバド(ヘドン)』に惹かれてやまない秋の夜長 @1,530円【今週のお買い物】

ヘドンの古典ルアー・ビッグバドは、持ち前のキュートな外観で釣り人の心を鷲掴みにした傑作。2015年に通常生産が終了した後でも数年おきに特注で生産が続けられています。今年も新色が登場。意気揚々と手に入れるはずが空振りに終わり、やるかたなきバド熱はビール「バドワイザー」と、別に新色ではない「ビッグバド」で冷ますことに。編集部インプレ企画です。

【Profile】
ルアマガプラス編集部・アズマ
ルアマガ事業局に所属するにも関わらず、釣り知識はどシャローに貧弱な会社きっての雑魚カード。でも釣りは好き。ちっちゃなころから悪ガキで25で不良社員と呼ばれている、時代遅れのおかしなのが好きなオールド・ファッションド・ラバー・ボーイ。好きなビールはサッポロクラシック。写真は三島湖。

前回のお買い物はエギングセット。釣果は訊ねるべからず。西伊豆がアツいらしいので、今度はそちらにまいります。

コアな愛好家も多いルアー「ビッグバド」

ビッグバドは世間で最も有名なルアー…と言ってもおそらく過言ではない、クラシックなマスターピース。

ブラックバスは釣らなくてもこの愛らしき見た目と「バドワイザー」のラベルに見覚えはある、というような人も多いのでは?

バドワイザーってなぜか他のビールより安く売ってますよね。なんでだろう?

もともとこのビッグバドは洋モノビール「バドワイザー」のノベルティグッズとして1975年より生産、販売が開始されたものです。

「販促グッズだからと言って侮るなかれ!」

…なんてことはいまさら僕の口からお伝えすることでもありませんし、当時の釣り人にとっても同じでしょう。ことアングラーという生き物は「釣れる」ということに関しては異様な感度で反応するのでありますから。

1975年の発売後まもなく、ビッグバドはその奇抜な外見と高い実釣性能で大きな話題に。もともとノベルティグッズであり、形状的にもロゴが乗せやすいことから、以来さまざまなメーカーとのコラボビッグバドが誕生しました。ビッグバドのビッグな懐の深さよ!

しかし、2004年に「バドワイザー」を販売する「アンハイザー・ブッシュ社」との契約が終了、新たに別のビール会社「クアーズ」がライセンス契約を結び、ルアー自体の名前も「ビッグバド」から「クアーズ」へと大胆に転換することになりました。

2004年には「ビッグバド」は「クアーズ」に。ちなみにクアーズは「ZIMA」とかベルギー風のフルーティな白ビール「ブルームーン」とかを製造している会社です。お酒の話ね。

これで一件落着、と思いきや「クアーズ」も2015年になるとライセンスを手放すことになり、それ以来本家「ビッグバド」の生産は終了してしまったのであります…。

そしてクアーズ自体も国内販売は終了。1回しか飲んだことありません。お酒の話です。

…ですが、その人気から現在でも特注生産が続けられており、旺盛なコラボ意欲も依然おとろえることはありません。2017年には「神」なコラボも実現。

ユニバーサルエンターテイメントによるスペシャルカラー「GOD」です。
裏地はラッキーセブン。縁起がいいかも?

また今年2020年にも新色が追加。…実は買い逃しており、それが口惜しくて心残りであったみぎり、たまたま店舗で別年のモデルを見つけたので購入したというわけなのです。

今回手に入れたビッグバド(なぜかグアテマラ産)

カラーはわりとポピュラーな「SMGC」グリーンチェックです。

SMがスミス、緑の三角がグリーンチェック=GC。青だとブルーチェック=BCです。

気になるブレードは上方ヒートン直結タイプでした。なぜブレードが気になるのか?

ビッグバドはブレードに水流を受けて金属音を発するルアー。安定したサウンドが出せるブレードの位置や接続法について、かつてのビッグバドの使い手は独自の理論を保有、その論戦は血で血を洗う宗教戦争の様相を呈していたとか呈していなかったとか、云々。

ともかく、だからチェックポイントとなるのですね。

以前中古で手に入れたビッグバドは荒っぽく改造済み。自分に合ったチューニングを楽しめるのがビッグバド人気の秘訣でもあるのでしょう。

しかし今回購入したモデルは好みに応じて改造しやすい二穴タイプ。無用な血を流さずに済みます。かつてはハンダゴテでむりやり穴を開けていたと言いますから…。

中心ブレードが望ましい方は刺さった金具(ヒートン)を引き抜いて真ん中に刺し直します。

さて、都内某所で購入した今回のバドはどうやら輸入品、そしてなぜか原産地グアテマラの表記。よくよく見ると2009年モデルのようですね。表面はマット処理されていてけっこうさわり心地がいい。

コーヒーとビッグバドの国、グアテマラ。
シールのウラにうっすらと2009の文字が。「2穴」モデルが生産されるようになったのはこの年から。

パッケージ裏面はみっちりと英語表記。

ヘドンの創始者、ジェームス・ヘドン氏のエピソードが綴られています。「ドワジャック貯水池」のバスが小魚を追いかけ回しているのに刺激を受け、生産を始めたのがヘドンルアーの始まりということです。万有引力のような話ですね。

ビッグバドの使用法にも軽く触れられています。バスが付いてそうな障害物周りを狙うべし、着水後巻いてくる前に少し止めるべし、ただ巻きがダメならストップ・アンド・ゴーで攻めるべし。それでもダメならジャークしてみるべし、ボトムのバスを引きずり出すのだ! グッドフィッシング!! …とあります。グッドフィッシングしたい。

記録よりも記憶に残る…?

デスクにビッグバドを仕掛けておくと、罠にかかった編集部の面々が口々にマイ・ビッグバドの思い出を語りだします。改造の思い出であるとか、古沢勝利さんのスマートな実釣に憧れて使い始めたであるとか。人に歴史あり、ルアーに歴史ありですね。あんまり釣れた話が聞けなかったのが気になりますが…。

こうして並べてみるとそれぞれ表情が違いますね。手前から3つめのバドは黒目がちな気がする。ちなみに最奥はバド系ルアー「ドラフトウェイカー」。

このまま社内に飾っておいてもよいのですが、ビッグバドだってルアーです。せっかくならこの子らにも情熱的なバスのキッスを体感させてあげたいところ。

ビッグバドに限らないことですが、「信じて投げ続ける」ことこそが釣りの奥義。おれはビッグバドを信じきれるのか…?

…まずはバドでナマズを釣るのから目標にいたします。

三島ではかわいい小バスがつれました。まだまだバス釣り修行中です。

パイセンたちの買い物はこちらから。身の回り品が多い傾向にありますね。

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