国内最大クルーズ船「飛鳥Ⅱ」、横浜帰港 トライアル航海終了、国内運航再開へ

国内クルーズの再開に向け、新型コロナウイルス感染対策を確認したトライアル航海中のクルーズ船「飛鳥Ⅱ」の乗員ら=20日午後、神戸港

 クルーズ船の国内運航再開に先立ち、国内最大のクルーズ船「飛鳥Ⅱ」は21日、3日間のトライアル航海を終えて横浜港に帰港した。航海中は新型コロナウイルス感染者の発生を想定した訓練を実施するなど、集団感染の防止に向けたさまざまな対策を確認。11月2日に静岡・清水港へと向かう短期クルーズに出港し、ウィズコロナ時代の新たなクルーズをスタートさせる。

 21日に実施した訓練は、発熱などを訴えた夫婦が検査で陽性と判定され、濃厚接触者が2人いると想定。陽性者の判明を船内放送で周知するとともにダイニングルームでの食事やイベントを全て中止し、全乗客を自室で待機させた。乗員総出で迅速に消毒し、安全エリアも確保した。

 航海中、陽性の2人は指定客室に隔離。横浜港大さん橋国際客船ターミナル着岸後は、患者の下船口を一般乗客と別にした上で医療機関に搬送する流れを横浜市港湾局と確認した。訓練には運航会社郵船クルーズの関係者ら乗客約150人と乗員約400人が参加した。

 トライアル航海は横浜─神戸間を往復する3日間の日程で、19日に出港。客船「ダイヤモンド・プリンセス」で起きた集団感染を教訓に国土交通省主導で策定した感染対策ガイドラインを受け、飛鳥Ⅱは詳細なマニュアルを作成して再開に備えている。

 視察した国交省海事局の木内智久首席運航労務監理官は「クルーズ船の感染対策が十分できていると確認した。今後は安全性をアピールしていきたい」と強調。郵船クルーズの久次米一聡管理部部長代理は「(再開後は)乗客乗員ともに検温や手指消毒など感染対策を徹底する」とした上で、「できる限り今までと同じようなサービスを提供していきたい」と語った。

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