2年越しに実現したアロサレーナ獲得 レイズ異例のトレード

2020年1月9日、一見奇妙なトレードが成立した。レイズは有望株左腕のマシュー・リベラトーリ(とエドガルド・ロドリゲス捕手とドラフト2巡目補償指名権)を放出してカージナルスから好打者のホゼ・マルティネス(とランディ・アロサレーナ外野手とドラフト1巡目補償指名権)を獲得。レイズが有望株のリベラトーリを放出したことは小さくないサプライズだった。しかし、このトレードがレイズを球団史上2度目のワールドシリーズへ導くことになった。

スモールマーケット球団であるレイズは年俸が上昇した主力選手をより安価な選手と交換するトレードを中心にチームを構成している。正遊撃手のウィリー・アダメスは2014年7月にデービッド・プライスをタイガースへトレードした際に獲得した選手であり、クリス・アーチャーをパイレーツへ放出したトレードではタイラー・グラスナウとオースティン・メドウズを手に入れた。マイク・ズニーノ、崔志萬(チェ・ジマン)、マニュエル・マーゴ、ハンター・レンフローらもトレード経由でレイズに加入した選手だ。プロスカウト部長のケビン・アイバックは「それが我々の仕事であり、我々のDNAなんだ」と自軍の手法への自信を見せる。

トレードには相手が必要だ。トミー・ファムとアビサイル・ガルシアがチームを去り、右打ちの外野手を必要としていたレイズは「セントルイスには右打ちの外野手がたくさんいる」とカージナルスに目を付けた。なかでもレイズが獲得を希望したのは2019年にメジャーデビューしたばかりのアロサレーナ。実はレイズは以前からアロサレーナの才能を高く評価しており、2017年オフにレイズとカージナルスのあいだで複数の選手が絡む大型トレードの交渉が行われていた際、アロサレーナも交換要員のなかに含まれていた。このときアロサレーナ獲得は実現しなかったが、2019年オフ、レイズは2年越しにアロサレーナ獲得に成功したのだ。

すでにメジャーデビューしている選手の対価としてマイナーの有望株を放出するのはレイズの伝統的なやり方ではない。レイズはもちろんリベラトーリの才能を高く評価していた。しかし、より早くメジャーの舞台でチームに貢献できる選手を手に入れるためにリベラトーリの放出を決断し、結果的に大成功となったのだった。レイズ加入後のアロサレーナの活躍はもはや語るまでもないだろう。

リベラトーリがまだメジャーデビュー前であることを考えると、このトレードについて評価を下すにはもう少し時間が必要だろう。とはいえ、短期的な視点ではレイズが「勝者」であることに疑いの余地はない。カージナルスのマイケル・ガーシュGMは「ランディのおかげでレイズはワールドシリーズに進出できた。現時点では明らかにレイズにとって素晴らしいトレードだった」と語っている。

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