「ママがいい!」そんな時はグミとガチャガチャに頼るパパ #共働き夫婦のセブンルール

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世の共働き夫婦は、どう家事を分担をして、どんな方針で育児をしているんだろう。うまくこなしている夫婦にインタビューして、その秘訣を探りたい。そんな想いから、今回の企画はスタートした。それぞれの家庭のルールやこだわりを7つにまとめ、その夫婦の価値観を紐解いていく。これを読んだ、他のパパやママたちの参考になれるように。

【左】千野浩二さん(仮名/36歳/IT・Web関連) 【右】千野順子さん(仮名/36歳/広告関連)

「穏やかそうなご夫婦だな」

私が千野さん夫婦に抱いた、第一印象だ。

2016年に職場結婚をした2人には、現在4歳の男の子がいる。それぞれ違う部署に所属していて、夫の浩二さんはWeb関連の営業、順子さんは広告営業を経験したのち、産休・育休を経て職場復帰。現在は、広告営業をサポートする企画制作の業務を担当している。

「ルールっていうルールは、本当にないんですよ。でも夫婦間はうまくいっていて」と苦笑しながら話す千野さん夫婦だけど、話を深く掘り下げていくと、「取り決めはしていないけれど、気が付いたらそういう流れになっていた」というルールがいくつも出てきた。

それは2人の間にできた、暗黙の了解。ルールを明確にしていない千野さん夫婦が、どういう価値観で育児を行っているのか、夫婦間にケンカは起きないのか。2児のワーママである私は、聞かずにはいられなかった。

7ルール-1 朝の息子のお世話は夫婦で分担

千野さん夫婦の朝は、大人が先に朝食を済ませ、そのあとに子どもを起こす手順。そんな毎朝のルーティンにも、役割分担があった。

「7時40分に息子を起こすんですが、その担当は僕。妻だと、なぜか息子がぜんぜん起きてくれなくて(笑)。くすぐったり、歌ったりして起こすんですが、息子は朝から大笑いして起きてくれます。起きたあとに少し遊ぶこともあるけど、僕の出番は基本ここまで。出社するために、そのあと家を出ないといけないんです」(浩二さん)

「彼は息子を起こすのが本当にうまくて、そこは任せています。私はその間にできることを進めている感じですね」(順子さん)

「寝起きからガッツリ息子を笑わせます(笑)」と話す浩二さん。機嫌よく起きてくれると、そのあとの支度がスムーズなので、順子さんは助かっているそう。

浩二さんが息子を起こしている間に、順子さんは息子の食事を準備。ゴキゲンで起きた息子を順子さんがリビングに運び、朝食を食べさせているのを見届けたら、浩二さんが出社。その後、順子さんが息子の身支度を済ませ、保育園に送り届ける。

夫婦の身支度がすでに終わっていることと、2人の流れるような連係プレーで、朝から準備にバタつくことは少ない。

帰りが終電近くになることの多い浩二さんにとって、朝は一日のうちで子どもと触れ合える唯一の時間。だからこそ、子どもを笑顔で起こすことが、“パパとしての使命”と感じていると同時に、浩二さん自身の一日の活力になっているのかもしれない。

7ルール-2 週末は家族の時間を持つ

平日の朝、5~10分しか子どもと触れ合えない浩二さんにとって、週末は家族一緒で過ごす貴重な時間。じゃぁ、その過ごし方は?

「今はコロナの影響があるので結構減りましたが、以前はどこかに外出することが多かったですね。子どもが一番喜ぶのが公園なので、自宅近辺にいくつかある大きな公園に行ったり。それから、夫の実家が近いので祖父母と一緒に遊んだり、ショッピングモールに行ったりもします」

順子さんは何のためらいもなくそう言うけど、私からすると、結構、いやかなりアクティブな印象。平日めいっぱい仕事をしていたら、休日は少しゆっくりしたいと思わない? と投げかけると、「それが、不思議と疲れないんですよ(笑)。それに、家にいると僕たちはスマホ、子どもはYouTubeを見てしまって、ダラダラ過ごしてしまうんです。それがイヤで、できるだけ外出するようにしています」という答えが浩二さんから返ってきた。

4歳の息子さんは、外遊びが大好き。高いところに登ったり、飛び降りたり。外出した際は、いつも元気いっぱい身体を動かしているそう。

平日のほとんどを順子さんと過ごす息子さんも、家族全員で過ごせる週末を心待ちにしているんだろうな、と思うと聞いているほうも自然とほほえましくなる。

外出先から帰宅したあとは、浩二さんが家族に夕飯を振る舞うことが多いそうだ。「僕が料理をできるのは、週末くらいなんで」と、少し謙遜しながらも、順子さんと息子さんに手料理を食べてもらえることをうれしそうに話す彼の姿が印象的だった。

7ルール-3 自分の機嫌は自分で取る

私の周囲では、結婚したてのときはラブラブでも、「子どもが産まれたらケンカが増えた」という夫婦は多い。夫婦ゲンカのことは他人にはなかなか話しづらいことかもしれないけれど、失礼を承知で聞いてみたら、「う~ん、ケンカってほとんどしないよね?」と、千野さん夫婦はお互い顔を見合わせた。

「僕は週末しか家にいないことがほとんどなので、妻に対する不満が溜まることがなくて。育児に関しては9割が妻だから、本当、感謝しかないです」

浩二さんは恐縮そうにそう答えたけれど、順子さんは?

「私は、夫にちょっとした不満があっても、あえて伝えず自分の中で消化しちゃうタイプ。性格的に、相手に不満やイライラを伝えることが自分にとってのストレスになるから、自分がガマンするほうを選んじゃいます。それでストレスが爆発しちゃうことも、ないんですよね」

取材中、終始ニコニコとした笑顔が印象的だった順子さん。ストレスが溜まりすぎないのは、性格的なものだそう。

話を聞いていると、順子さんのストレス耐性の高さと懐の深さには、同じ妻として、母として、うらやましささえ感じてしまう。私は夫や子どもに対して、イライラして急かしてしまうことが多いから。

相手に不平不満をぶつけたとき、あとから後悔してしまったり、そんな自分によけい苛立ってしまったりするのは、誰もが身に覚えがあることだ。それがわかっているからこそ、順子さんは自分で自分の機嫌を取り、夫婦間のバランスを保っているように思えた。

ところで、ちょっと余談。このルールについて話を聞いているときに、面白い瞬間があった。

「子どもに向けて、『次はこれをしないといけないんだよ~』って言うときがあるんですけど、それって実は夫に『次は、これをしないといけないんだからね! 気付いて手伝ってね!』っていうサインなんです」(順子さん)

「僕も、子どもに『どうしてこれ片付けてないの~?』とか言うけど、それは実は妻に向けてのメッセージだったりします」(浩二さん)

今まで特に意識はしていなかったけれど、今回の取材で子どもを通した間接的なお願いをお互いにしていたことに気が付いた2人。やっぱり夫婦って似てくるのかも、と私がこっそり心の中で思ったことは内緒だ。

7ルール-4 やりたいことは何でもやらせる

「運動能力を伸ばしてやりたい」
「芸術に触れ合う機会を作ってあげたい」

子どもの将来を一番に考える私たち親にとって、教育に対する考えやしつけのスタンスを夫婦で共有しておくことは大切だ。千野さん夫婦の間では、「子どもがやりたいと言ったことは何でもやらせる」という考え方で一致している。

「今はスイミングのほかに、保育園に追加料金を払って習い事をしてくれるカリキュラムがあって、そこで剣道、体操、読み書きを教えてくれる幼児教育の3つを習っています」(順子さん)

それぞれ、息子さん自身が「やりたい」と申告した習い事だ。保育園での習い事は保育中に専門の先生が来て指導してくれるシステムで、千野さん夫婦が付きそう習い事は土曜日のスイミングだけ。スイミングを始めたばかりのときの息子さんは、知り合いがいなくて尻込みしていたけれど、あとから保育園の友だちが入会し、今は楽しみながら通っているそう。

また、順子さんが「自宅用にカルタを購入した」なんてエピソードも教えてくれた。

「保育園でカルタにハマったみたいで、知育にも繋がるかなと思って家用にも買ってみたんです。購入したのは、『都道府県カルタ』というカルタで、“うどん食べるよ 香川県”とか、各都道府県の名産品や観光スポットが書いてあるもの。毎日必ず2、3回やってから寝るくらい、ハマってます」

息子さんのために購入したというカルタ。まだすべての内容は覚えていないものの、好きなフレーズやキーワードがあるカルタは、あっという間に覚えたそう。

とは言っても、カルタは一人じゃできない。習い事を始めたのはいいけれど、親の負担が大きくて続かないというケースもある。私も話を聞いたときは、「4つもの習い事なんて、親が大変そう」と思ったけど、千野さん夫婦は保育園の制度を賢く活用し、可能な範囲で子どもの意見を尊重していた。

順子さんは、こう続ける。「もし息子がほかにも何かやりたがったら、どんどんやらせてあげたい。いろいろなことを経験することで、息子の世界を広げてあげられたらと思っています」。

7ルール-5 徹底的な掃除・整理整頓は夫が担当

「週末のホームパーティに向けて家を徹底的に掃除したり、収納の仕組みや動線を考えたりするのは、夫が上手なんです。私は平日の簡単な掃除や片づけはしますけど、昔から整理整頓が本当に苦手で」

順子さんがそう言ったあとに、「順ちゃんが細かくない、とは言わないけどさぁ」と、無意識に順子さんを普段の呼び名で呼んだ浩二さんは、小さく笑って続けた。

「僕のほうが細かい性格なのかな。調味料とか、薬やマスクとか、何でもカテゴリーを分けて収納したいんですよ。最初に大枠を決めちゃえば、あとは家族がその通りに収納してくれるので」

「細かくないって、おおざっぱってこと?」。笑いながら順子さんが浩二さんに突っ込んでいた。

古い言い方をすると「台所は女の聖域」なんて言葉もあるけれど、順子さんはキッチン収納を浩二さんに決められて、平気?

「本当に使いづらかったら、こっそり調味料の位置を変えることもありますけど(笑)。よく考えられた収納で、“使いづらい”ということがほとんどなくて、文句を言ったりすることはありませんね。むしろ、整理整頓が苦手な私からすると、本当にありがたいことで」

普段のサッとした掃除や整頓は順子さん、休日に丹念にするのが浩二さん。片方のウエイトが重いわけでもなく、ムリもしない。お互いを補完しあうように自然と家事分担ができているスタイルは、夫婦にとって理想のカタチと言えるのかもしれない。

7ルール-6 [妻]朝か夜は自分時間を確保する

「妻」「母」「会社員」という“3足の草鞋”を履く順子さんは、さらに“4足目の草鞋”を履くことにしている。

「妻でも母でも仕事をしている自分でもなく、“ただの私”になれる時間が欲しくて」と、はにかんだ彼女が選んだ時間帯は、「朝か夜」だった。

「朝の場合、私は6時に起きて7時半までの間に食事と身支度をするんですが、その間にAmazonプライムでドラマを流して見てるんです。いわゆる『ながら見』でダラダラしてるんですけど、自分にとってはそれが贅沢な時間の使い方に感じていて」

「朝に時間がなければ、夜にリフレッシュタイムを設けるようにしています」と話す、順子さん。

独身時代は30分ほどで食事と身支度を済ませていたという順子さんだけど、産休明けからこのルールを決定。誰にも邪魔されないゆったりとした時間が、心をリフレッシュするために必要なんだそう。

私たちの毎日は、どうしても子ども優先のタスクに追われることが多くなってしまいがちだ。でも、一日のうちのたった数分間でも“ただの私”に戻れる時間が作れたなら、順子さんのように今日や明日をがんばれるパワーになるのかもしれない。

7ルール-7 [夫]パパならではの遊びをする

順子さんは自分時間の確保。では、浩二さんのなかでの個人的なルールは?

「週末に、子どもとパワフルな遊びをすることですかね。男の子なので、ちょっと乱暴な戦いごっことか、抱えて上げてグルグル回すとか、公園で『パパについて来い!』って言って思いっきり走り出すとか。それがないと、ママに全部持っていかれちゃうんで(笑)」

くしゃっとした浩二さんの笑顔のなかに、男同士の遊びを満喫している様子がよく伝わってきて、まるで彼が小さな男の子みたいだ。そんな浩二さんに、「順子さんに息子さんを取られたな、って感じるとき、ちょっとヤキモチ焼いたり、寂しくなったりするの?」と、ちょっと意地悪な質問をしてみた。

「めちゃくちゃ寂しいです! 以前、ちょっと悲しいエピソードがあって。月に1回くらい、僕が息子の保育園へお迎えに行くんですけど、息子があからさまにガッカリするんですよ。しかも面と向かって『パパか~、ママがよかった~』って言われる。だから、グミをあげたりとか、ガチャガチャやメダルゲームをやったりとか、ついつい息子が好きな物を買い与えちゃいます(笑)」

浩二さんが、ついつい息子さんに買ってしまったガチャガチャのおもちゃ。なんてことのないおもちゃも、パパと息子の絆みたいに見えた。

その話を聞いて、「あの子がそんなにあからさまだったなんて、知らなかった」と、順子さんもクスクスと笑った。

浩二さんは子どもと触れ合う機会が少ない分、休みの日は子どもと同じ目線に立つことで、親子の時間のスキマを埋めるようにしているのかもしれない。

彼らの7ルールを一言で言うと……?

千野さん夫婦が、忙しいながらもケンカをせずに日々を上手く回していけるコツみたいなものを挙げるとしたら、それは「感謝の気持ちを忘れない」ということなのかもしれない。

取材中、何度も2人の口から自然と出た、相手への「感謝」「ありがたい」という言葉。その言葉が贈り物のように2人の中にどんどん増えていって、強い絆を作り上げている――そう感じたからだ。

お互いを尊重しあえて、感謝しあえる関係。

「結婚してるんだから、尊重しあえるなんて当然」「夫婦なんだから、感謝を言葉にしなくてもわかる」と思う人もいるかもしれないけれど、子どもが産まれるとその関係性が崩壊してしまうことだってある。私が思っている「当たり前」が、夫にとっての「当たり前」ではないように。

そう思ったら、自分の「当たり前」を夫に押し付けてしまっていたことがいくつもあることに気づき、急に夫の顔が見たくなった。今夜はきちんと彼にお礼を言おう。「するのが当たり前」と思っていたことに、きちんと感謝しよう。千野さん夫婦の取材を終えて、素直にそう思えた。

(取材・文:関亜希子/マイナビウーマン子育て編集部、撮影:梅沢香織、イラスト:二階堂 ちはる)