名捕手・モリーナがGグラブ賞選考に不満漏らす しかし数字は…

ゴールドグラブ賞の最終候補者が日本時間10月23日に発表されたが、過去に同賞を9度受賞しているヤディアー・モリーナ(カージナルス)の名前はそこになかった。ナショナル・リーグの捕手部門ではウィルソン・コントレラス(カブス)、タッカー・バーンハート(レッズ)、ジェイコブ・ストーリングス(パイレーツ)の3名が最終候補者にノミネート。モリーナは最終候補者3名をリスペクトしつつも、同賞の選考に不満を漏らした。

捕手の最多受賞記録はイバン・ロドリゲスの13度だが、モリーナはまずジョニー・ベンチ(10度)に追いつくことを目標としていた。昨季までに同賞を9度受賞しているモリーナはあと1度受賞すればベンチに追いつくことができるが、最終候補者3名のなかにモリーナの名前はなかった。それを受けてモリーナは自身のインスタグラムを更新し、フラストレーションを口にした。

モリーナは「全ての最終候補者をリスペクトしている」としつつも「誰が決めたのか知らないけど不正があるのではないか。プエルトリコ人がジョニー・ベンチに追いつくのを望んでいないのだろう」と不満げなコメント。「僕は38歳だけどまだベストの捕手だ。メジャーリーグの全ての捕手に聞いてみるといい。誰がベストかを教えてくれるだろう」と自身の実力への絶対的な自信を示した。

しかし、ベンチを追い抜いたロドリゲスもプエルトリコ人であり、モリーナの批判は的外れとも言える。そもそも今季は各球団の監督・コーチが限られたチームの選手のプレーしか目にしていないため、同賞の選考は例年通りの監督・コーチによる投票ではなく、各種の守備指標に基づいて行われることになっている。モリーナが批判しているような作為的な選考が行われる余地はないのだ。

大手データサイト「FanGraphs」が掲載している守備的WARを見ると、モリーナはコントレラス、ストーリングス、オマー・ナルバエス(ブリュワーズ)、バーンハートに次ぐリーグ5位に過ぎない。守備防御点を見ても、バーンハートが+9でリーグ1位、ストーリングスが+7でリーグ2位にランクインしているのに対し、モリーナは+1でコントレラスらと並んでリーグ7位タイ。盗塁阻止率45.5%というのは素晴らしい数字だが、捕手としての5失策はリーグ最多であり、これらの数字を見る限り、モリーナが最終候補者3名に残れなかったのは当然と言える。

カージナルスの試合を見ていれば、モリーナの存在感は確かにずば抜けており、モリーナが「僕はベストの捕手」と誇らしげにコメントするのも頷ける。とはいえ、今季の選考が数字をベースに行われる以上、そうした印象面の要素は完全に排除されるため、モリーナは選考の結果を受け入れるしかないだろう。

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