第3の新マイキー「スリークマイキー(ジャッカル)」誕生秘話

ジャッカル伝統のジョイントベイト・マイキーの名を受け継ぐ第3のモデルが誕生。その名も『スリークマイキー』。開発を手がけたのは、あの名作・カワシマイキーを世に送り出した房総半島リザーバーの手練、川島勉さん。ここでは2004年から始まった17年に及ぶマイキー半生記と共に、新作モデルの開発ストーリーをお届けしよう。

【Profile】
川島 勉/かわしま・つとむ
言わずと知れた房総半島リザーバーの凄腕スーパーローカル。切れ味鋭いシャープな目線と共に現場で叩き上げた開発モデルは数多く、ポンパドールにシザーコーム、そしてもちろん躱マイキーなどいずれも後世に残る超人気作だ。本業の美容師との二刀流は今なお輝きを増し続けている。

21世紀を代表するジョイントベイトの系譜

『躱(=カワシ)マイキー』といえば、今や誰もが知るジョイントベイトの定番だろう。

2010年に発売されて以降、サイズやカラー共に続々とラインナップを増やしてきたことは、その人気ぶりを象徴。

リリースから10年を経た今なお現場の最前線に君臨している。

川島「フロントボディにウェイトを内蔵して前傾姿勢に。湾曲リップと共にカバー回避性能を高めた一方で、より深く潜らせることができるカバークランキングモデル。オリジナルモデルにあたるマイキー同様にただ巻きで簡単に使える一方で、ひと巻きで確実に水を掴んで派手なアクションと共に潜行してくれるのがメリットです」

躱マイキーはいわばオリジナルマイキーのファインチューン版。

水面直下など表層を主戦場とするマイキーに対して、躱マイキーはシャロークランクの領域まで踏み込んだモデルに仕上げられたものだ。

川島「当初は双方を使い分けていたんですが、竿を立てればマイキーのレンジも攻略できるので、いつの間にかカワシマイキーが主力になっていきましたね。ただ、飛距離に関しては内蔵ウェイトの構成上、マイキーに分があります。それと巻きスピードを速めるならマイキーがいいかなと」

カバーの有無・レンジ・アクション・飛距離・スピードで使い分ける2つのマイキー。

それぞれが持つポテンシャルが、全国のフィールドで強い支持を受けてきたことは言うまでもない。

季節を問わず第一線で活躍するマイキーシリーズの実力

こちらは昨季2019年2月20日に行われたルアマガMOBILE三島湖シリーズ第3戦での1カット。日中気温は終始10度以下、時に0度にも迫る過酷な真冬の一戦で、川島さんが見事に仕留めたのがこの1尾。ヒットルアーはカワシマイキー。試合終了1時間前、水温が上昇するタイミングを見逃さず、目に見えるレンジを果敢に攻めた結果だ。実にお見事!

川島「ただ…皆さんに多くの支持をいただいたことは非常にうれしい事実なんですが…一方では、僕のカワシマイキーフィッシュが減って釣れない人になってしまうという現実も(笑)。実は2〜3年前から次なる手を打ち始めていたんです」

今度はカワシマイキーベースでチューニングを開始。

次なる作品は、どんな仕上がりを目指していったのだろうか。

よりタイトな動きを求め“滑らかなマイキー”へ

川島「カワシマイキーのアクションを抑えたかったんですよ。強めのウォブンロールから、よりタイトな動きに変えたほうがダマせる魚が増えるのではないかと。ただ…」

マイキーをチューンした時とは勝手が異なったのだという。

川島「ラインアイとリップの形状を変えればアクションは変わる…と思いきや、そもそもボディ形状が影響して思い通りのアクションが出ない。そこで一時はリップレスの方向へ進んでいったんですよ。でも、またこれが…」

アクションは弱くなっても、使い勝手が良くない。

元々『ただ巻きで釣れる』ことこそがマイキー伝統のコンセプト。

誰でも手軽にジョイントベイトを使えなくては意味がないと川島さんは策を練り直すに至った。

川島「一昨年かな、カワシマイキーの115を基盤リップに換装してラインアイの位置を替え、ロールが出ない理想の動きが出たんですよ。ただ、それは無骨な自作レベル…」

そこで、ジャッカルに製品化の相談。

当初の試作段階で仕上がったモデルが想像以上のレベルに昇華したものの、使い込んでいくうちにまた新たな問題が発生したという。

川島「理想のアクションが出ても、テールフックがあると暴れすぎて、デッドスローで思い通りのアクションが出ない。そこで敢えて、2フック化を提案。フッキング性能も問題なく、浮力も高いことが判明してアッという間に完成へと至りましたね」

川島さんが現場で叩き上げたコンセプトと、ジャッカルの優れた技術力の融合。強力タッグが築き上げたジョイントベイトは、伝統のマイキーの名を継承した。

川島「命名:スリークマイキー。『ツヤのある』とか『滑らかな』という意味を持つヘアスタイル用語ですね。『躱がクランクベイトだとしたら、スリークはシャッド』。そう考えてもらってもいいかもです」

川島プロデュースアイテムの名前の秘密

川島さん開発モデルの多くは、実は美容師用語からインスパイア。最新作のスリークマイキーも『ツヤのある、滑らかな』を意味するスリークヘアに由来している。

スリークマイキー115[ジャッカル]

川島「何よりナチュラルな動きで抵抗も軽いので、よりレスポンスは高いのが特長です。ただ巻きでの威力はもちろんですが、自分の意志通りにスピードの緩急を付けることができるので、よりタフな時に食わせの一手となるはずです」

SPEC比較

ルアー名全長(mm)自重(g)タイプカラーフック価格(円、税抜き)飛距離アピール力レンジ(m)巻き抵抗マイキー オリジナル14032.0F30ST-36BC#43510◎◎垂直直下普11520.5F30ST-36BC#52810躱マイキー オリジナル14032.0F17ST-36BC#43510◎◎~1.0強11520.5F14ST-36BC#53810スリークマイキー11519F8ST-36MF#42800〇〇~1.5軽9010.4F8ST-36MF#62400〇〇caption

サイズ別に2タックルでOK! 全マイキー共通使用タックル

115mm/90mm用

●ロッド:ポイズングロリアス168ML-LMグレイハウンド68、ポイズンアドレナ163M or 1610M(すべてジャッカル×シマノ)
●リール:メタニウム(シマノ)
●ライン:フロロカーボン14ポンド

140mm用

●ロッド:ポイズンアドレナ166H-SB(ジャッカル×シマノ)
●リール:メタニウム or アンタレス(共にシマノ)
●ライン:フロロカーボン14〜16ポンド

関連記事はコチラ

躱マイキー ●2010年発売 ●川島勉開発
マイキー ●2004年発売 ●濱田禎二開発
スリークマイキー ●2020年7月発売●川島勉開発

© 株式会社 内外出版社