核兵器禁止条約の発効決定を受け、長崎市の田上富久市長は25日、長崎原爆資料館で会見し、「核兵器のない世界に向けて本当に大きな前進だ。被爆者をはじめ、これまで関わってきた全ての人たちと喜びを分かち合いたい」と語った。
一方で、「ここがゴールではない。実効性のある条約に育てるため、核保有国を含め多くの国が参加しないといけない」と指摘。被爆地の長崎や広島、市民社会の盛り上がりも鍵を握るとした。
条約に背を向けている日本政府の姿勢については「唯一の戦争被爆国として、リーダーシップを発揮できる立場にないのは非常に残念だ」と述べた。広島市と共に政府や国会に署名・批准を要請し、難しい場合は発効から1年以内に開かれる締約国会議にオブザーバー参加を求める考えを改めて示した。
同館入り口には「条約を世界みんなの共通ルールにしよう」と記した横断幕が掲示された。田上市長は、隣接する国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館も訪れ、死没者の名簿棚の前で黙とう。核廃絶運動に身をささげた被爆者らに謝意を示した。
平和公園では、全ての国・地域に条約の批准などを求める署名活動に取り組んできた被爆者らが集会を開き、喜びの声を上げた。
中村法道知事は条約発効を機に「一日も早く核兵器のない世界が実現することを願う」とコメントを発表。政府に核保有国と非保有国の溝を埋めるための努力を求めた。
核兵器禁止条約1月発効 長崎市長「ゴールではない」
- Published
- 2020/10/26 09:42 (JST)
- Updated
- 2020/10/26 10:46 (JST)
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