「ドジャースにいなかったはずの男たち」が世界一の立役者に?

ドジャースはレイズとのワールドシリーズ第5戦を制し、1988年以来32年ぶりとなる世界一に王手をかけた。ジョク・ピーダーソンは第4戦で逆転打、第5戦で本塁打を放つなど、ポストシーズン15試合で打率.382の活躍。一方、ブルスダル・グラテロルはポストシーズンで登板した8試合のうち7試合で無失点に抑えるなど、ブルペンの貴重な戦力となっている。しかし、この両者は「ドジャースにいなかったはず」の選手だった。

今年2月4日、ドジャース、ツインズ、レッドソックスのあいだで三角トレードが合意に達した。これはドジャースがレッドソックスからムーキー・ベッツとデービッド・プライスを獲得し、ツインズはドジャースから前田健太、レッドソックスはドジャースからアレックス・ベルドゥーゴ、ツインズからグラテロルを獲得するというものだった。

ベッツの加入によって外野手が余るドジャースは、トレード合意から数時間後、エンゼルスとのトレードが合意目前となっていた。このトレードはドジャースがピーダーソン、ロス・ストリップリング、マイナーリーガー1名を放出してエンゼルスからルイス・レンヒーフォを獲得するというものだった。

よって、この時点ではピーダーソンはエンゼルス、グラテロルはレッドソックスの一員となることがほぼ確実となっていたわけだ。しかし、その2日後、事態は一変する。

2月6日、「MLBネットワーク」のジョン・ヘイマンはレッドソックスがグラテロルの健康状態に懸念を示していることを報じた。レッドソックスはグラテロルを先発投手として計算していたが、グラテロルの健康状態では先発を務められない可能性が高いと判断し、ツインズに追加の交換要員を要求したのだ。

これによってドジャース、ツインズ、レッドソックスによる三角トレードは一時的に凍結。それに伴い、ドジャースとエンゼルスのあいだのトレードも保留となった。

2月9日、三角トレードを2つの2チーム間トレードに分割することでようやくトレードが成立し、ドジャースはレッドソックスにベルドゥーゴ、ジーター・ダウンズ、コナー・ウォンを放出してベッツとプライスを獲得。ツインズには前田とルーク・レイリーを放出してグラテロルを獲得することになった。レッドソックスへ移籍するはずだったグラテロルは、このような経緯によりドジャースの一員になったというわけだ。

ベッツのトレードが無事に成立したため、ピーダーソンはエンゼルスへ放出されるのかと思いきや、ドジャースとエンゼルスのあいだのトレードは破談となった。後日、エンゼルスのアート・モレノ・オーナーは「ベッツのトレードが遅延したこと」をトレード破談の理由の1つとして挙げている。こうしてピーダーソンは今季もドジャースの一員としてプレーすることが決定した。

そして今、エンゼルスでプレーするはずだったピーダーソンとレッドソックスでプレーするはずだったグラテロルは、ドジャースの一員としてワールドシリーズ制覇まであと1勝に迫っている。

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