Apple Watch Series 6レビュー:バッテリー持続時間の改良がもたらすもの

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Appleは、第6作目となるスマートウォッチ「Apple Watch Series 6」を9月18日に発売した。価格は、GPSモデルの40mmアルミニウムケースで42,800円(税別)からだ。

新機能の1つ「血中酸素ウェルネスアプリ」

Apple Watch Series 6の新機能は多くはないが、最も目を引くのは血中酸素濃度を計測できるセンサーと「血中酸素ウェルネスアプリ」の実装だ。

手首を15秒間静止させるだけで血中酸素濃度の計測ができる。トランプ大統領の新型コロナウイルス感染のニュースでも血中酸素濃度が取り上げられていたが、Apple Watchでの計測は心電図と違って医療目的ではなく、あくまで健康増進やエクササイズが目的だ。個人差はあるが、健康な人は95~100%の間で収まるという。

運動で高い負荷がかかった際、あるいは登山など空気が薄い環境に行った場合は、この血中酸素濃度が低下する可能性がある。Apple Watch Series 6では、リアルタイム高度計を備えており、登山する際は高山病予防の目安として活用できるかもしれない。

血中酸素濃度は、安静時に自動的な計測も行われる。watchOS 7では睡眠計測機能が実装されるが、眠りの深さを計測している最中にも、血中酸素濃度の計測が行われる仕組みだ。もし、睡眠中の血中酸素濃度が低下していて睡眠時無呼吸症候群の可能性を疑った場合、そのデータをもとに受診する、という人が出てくるかもしれない。しかし、Series 6はあくまで医療用のデータが取れるわけではないことを認識する必要があるだろう。

新しい「S6」の搭載がもたらす大きなメリット

Apple Watch Series 6には、新しいSiP(system in package)「S6」が内蔵される。Series 5で採用された「S5」は、プロセッサとしてはSeries 4と同等で、ジャイロの搭載とストレージ用メモリーの増大がおもな変更点だった。そのため、2世代ぶりに設計が新しくなったSiPといえる。

Appleによると、A13 Bionicをベースにしたデュアルコアプロセッサであると説明していた。つまり、7nmプロセスで作られたチップをコアに持ち、自社設計のGPUも備えていると考えられる。A13 Bionic搭載のiPhone 11シリーズは、省電力性とパワーマネジメントの強化により、前モデルから1~4時間ほどバッテリー持続時間が向上した実績がある。

実際、Apple Watch Series 6を使ってみると、電池の持ちは驚くほどよくなっていた。

朝100%充電の状態で装着して出かけ、駅までの15分のウォーキング、外出先での1駅分のウォーキング、駅から自宅までの15分のウォーキングなどを計測しつつ、日中はPASMOやiDなどの電子決済を行い、家族から届くメッセージに対して音声入力で返信する……。

こうした筆者にとっての日常的な使い方をSeries 5でこなすと、夜19時ごろ家にたどり着くまでに、バッテリー残量は30%程度にまで減っていた。もちろん、家に着いてしまえば、あとは充電するだけなので問題はないのだが、通常よりも長く行動しなければならない日はバッテリー残量が不安になっていた。

いざSeries 6に替えてみると、まったく同じような1日を過ごしても、家に着いた段階でバッテリー残量は60%を割り込むかどうかまで残っていた。さすがに“1日つけっぱなしでもまったく問題ない”というレベルには達していないが、バッテリーライフの大きな伸びは、生活の中でApple Watchを活用するうえで大きな進歩となる。

睡眠計測に現実的に対応できるように

watchOS 7には、新たに睡眠計測機能が搭載された。各社のアクティビティトラッカーやスマートウォッチと同じように、睡眠中の体の動きから、深い眠り、浅い眠りのサイクルを見つけ出す仕組みで、Apple Watchが長らく対応してこなかった弱点だった。

watchOS 7に対応するSeries 5やSeries 4、Series 3のモデルも睡眠計測機能は利用できるが、就寝時に充電できなくなることから、朝起きてから充電する余裕がなければ怖くて手が出せない、というのが本音だろう。もちろん、これはApple Watchにどれだけのことを任せているかにもよるが。

Series 6の日中のバッテリーライフなら、帰宅してからも充電せずにそのまま就寝しても、朝起きた時のバッテリー残量は30%程度残っている。watchOS 7のおやすみモードでは、iPhoneと同様に輝度と画面表示が最低限となり、暗いベッドルームでも目に優しい。同時に、寝ている間のバッテリー消費を最低限に抑えることができる。

Series 6は、朝起きてからの充電も高速化されており、0%から100%までのフル充電をこれまでの半分の1時間30分でこなすことができる。朝の身支度をしている間に、フル充電に近い容量までバッテリーを回復するのも不可能ではないだろう。

カタログスペックでは依然として18時間というバッテリーライフにとどまるが、充電時間の大幅な改善で睡眠計測をより現実的な機能へと昇華させた点は、カタログスペックに現れないApple Watch Series 6のメリットといえる。

Series 3、Series 4はもちろんだが、Series 5から買い替える動機として、Series 6は十分な進化を遂げている。

著者 : 松村太郎

まつむらたろう

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