ロッテがCSを死守するには? 専門家が指摘した「嫌らしい攻撃」と「新たな気持ち」

ロッテ・井口資仁監督【写真:荒川祐史】

元オリックス監督の森脇浩司氏「戦術を駆使し、なりふり構わず攻めていくスタイルで、2位を是非掴んでほしい」

■ソフトバンク 5-1 ロッテ(27日・PayPayドーム)

ロッテが27日、敵地でソフトバンクに1-5で敗れ、05年以来、15年ぶり6度目のリーグ優勝を逃した。直接対決で敗れ、目の前で優勝を決められたロッテ。だが、落ち込んでばかりもいられない。この日西武が勝ったことで、3位とのゲーム差は2に縮まった。そして残り11試合。元オリックス監督で、ソフトバンク、巨人、中日でもコーチを務めた野球評論家の森脇浩司氏は「戦術を駆使し、なりふり構わず攻めていくスタイルで、2位を是非掴んでほしい」と語った。

この日のロッテは先発石川がソフトバンク和田との白熱した投手戦を演じたが、6回3失点。打線も、安定したホークス投手陣から9回に1点を奪うのが精一杯だった。リーグ終盤、12連勝を飾ったソフトバンクに大きく差を離され、目の前で優勝を決められたロッテ。だが、クライマックスシリーズ出場権をかけた2位争いがまだ残っている。

ロッテと2ゲーム差で3位につける西武、そして2位と3.5差の楽天との三つ巴の戦い。その中でロッテは首位ソフトバンクと5試合、西武と1試合、楽天と3試合を残している。では、これからどういった戦いが必要になってくるのか。森脇氏は「もう大事じゃない試合はない。可能性が残されているチームはどこも目の色を変えて総力戦の戦いになる」と、一戦必勝態勢で試合に臨む必要性を説いた。

「最もコンスタントに攻守で活躍してきたマーティンが抜けたことは痛いが、その中でどうやりくりしていくか。今、得点力が落ちている中で、如何に失点を少なく、1点をもぎ取っていくか。井口監督が最も得意とするところでもあり、ロッテにはそれを体現出来るメンバーが多いと見ている。しかし、受け身になっては監督の思いも体現出来ないし、豊かな才能も発揮出来ない」

リーグトップの454四球、与四球353はリーグ最少「素晴らしいところをたくさん持っている」

優勝したソフトバンクはクライマックスシリーズでロッテと再び対戦する可能性があるだけに、それを見据えた戦い方をしてくることが予想される。森脇氏は「ホークスも、ここまでロッテ戦は分が悪いし、嫌なイメージを持ってクライマックスシリーズを戦いたくないから、全力で戦ってくる」と予想する。つまり、気の抜けない試合が続く中で、いかに勝ち星を重ねていけるかが鍵となってくる訳だ。

だが、現時点で2位のロッテが最も有利な位置にいることも事実だ。森脇氏は「ロッテはクライマックスシリーズに辿り着ける力を十分持っている。目の前で優勝を決められたことで、新たな気持ちも芽生えたはずだし、意地もあるだろう」と、気持ちの切り替えの大切さを指摘する。

その中で、森脇氏が注目しているのが四球の数だ。ロッテはここまで選んだ四球がリーグトップの454個。逆に与えた四球はリーグ最少の353個。「ロッテはどのチームよりもボール球を振らないし、嫌らしい攻撃ができる。それぞれが素晴らしいところをたくさん持っていることを確認して欲しい。もう一度勇気と自信を持って、悔いのない1打席、1球にしてほしい」。

そして、マーティン不在の中で新たに得点できるパターンを構築できれば、それが今後の短期決戦にもつながっていくと森脇氏は言う。

「こういう状況の中で2位を掴むことができれば、新しいオプションを手に入れることになる。ロッテは優勝は逃したが、混戦のパ・リーグで熾烈な1、2位争いを演じていたチーム。この日の井口監督を見ていて、必ずこの球場でホークスを絶対倒すんだという胸に秘めた強烈な思いを感じた。勝ちパターンの投手はそろっているし、投手陣も総動員になるだろう。今こそ、一丸となって戦う本来のロッテ野球を期待したい」

残り11試合。負けられない戦いが続く中、ロッテはどんな試合を演じるのか、今後の戦いに注目だ。(Full-Count編集部)

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