プレハブ住宅をリノベーションするときの注意点や費用相場

注文住宅をはじめ、店舗や倉庫、事務所の建築にも採用されるプレハブ工法。工期が短く建築コストも低いなど、多くのメリットがあります。プレハブ住宅のリノベーションでは、どんな点に注意すればいいでしょうか。今回は、プレハブ住宅のリノベーションを検討する前に押さえておきたいポイントを紹介します。

プレハブ住宅(プレハブ工法)とは?メリットとデメリット

プレハブ工法とは、工場生産した部材を建築現場で組み上げる施工方法です。プレハブ工法で建てられた住宅をプレハブ住宅と呼びます。プレハブと聞けば仮設住宅や簡易的なオフィスをイメージするかもしれません。しかし、プレハブは木造住宅やRC住宅と並び、注文住宅の建築でよく用いられる工法のひとつです。

プレハブ工法では、現場で建築作業をはじめる時点で骨組みが完成しているところに大きな特徴があります。ちなみに、軽量鉄骨造りといえば多くがプレハブ住宅を指します。プレハブ住宅のメリットとデメリットは次の通りです。それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。

品質が安定していて効率的な建築工法

「品質の安定感」は、プレハブ住宅ならではの強みです。住宅に利用される建材は工場で均一に生産され、完成度の高い仕上がりとなります。職人の技術力に左右される木造住宅などはそうはいきません。徹底した品質管理と効率的な工場生産でつくられるプレハブ住宅だからこそ、安定した品質が可能となるのです。現場に揃った部材の完成度が高いゆえに、建物の完成度も高くなります。

工期が短い

工事契約から建築完了までの工期が短い点も、プレハブ住宅の大きなメリットです。多くの部材が工場で製造されることから、現場での建築作業は限られた工期で済みます。はやく入居したい方にとってはうれしい施工方法といえます。リフォームや修繕を比較的簡単かつ短期で行えるケースもあります。

価格が比較的安い

プレハブ工法は、職人の腕に依存しない、効率性を極めた工法です。均一かつ大量の部材生産が可能なことから、部材の原価を低く抑えられます。部材が安くて工期も短いということは、トータルの建築コストも安く済むということです。中古のプレハブ住宅であれば、なおのこと低価で購入できます。

デザインの幅が狭い

プレハブは部材が規格化・標準化されているため、デザインの幅はどうしても狭くなります。無個性で特徴に欠ける住宅になりがちで、内装、外観のデザインにこだわりたい方にとっては不向きの工法かもしれません。建築・生産を請け負ったハウスメーカーでなければリフォーム対応できないケースも多々ある点に注意が必要です。

断熱性や防音性、防水性に劣る

もろもろの性能面で劣るところも、プレハブ住宅のデメリットといえます。木造住宅と比較すると、断熱性能、防火性能ともに劣るのが一般的。防音性能も高いとはいえません。これらの弱点を補い効果を高めるには、断熱材や耐火材、防音ドアを活用するなどの工夫が必要ですが、当然工費がかさむ結果となります。鉄骨は一定以上の温度になると強度が下がり、柱が崩落しやすくなる危険性を伴います。サビにも弱く耐久面に弱点を抱えるところも難点です。

耐用年数は約19年。リノベーションで寿命を延ばすことができる

「一般的にプレハブ住宅の耐用年数は約19年」。これが住宅業界の定説です。性能をカバーするために導入された断熱材や耐火ボードもそう長持ちせず、効果が半減する前に取り替えや修繕などの対応が不可欠となります。

ただ、耐用年数はそれほど気にする必要はありません。古くなった部分を改修・補強したり、新しい部材に交換したりするなどのリノベーションで寿命を延ばすこともできます。鉄骨部分のサビにさえ注意すれば、孫やひ孫の代まで使用することも難しくありません。改良や用途変更、ライフスタイルの変化に合わせたモデルチェンジなど、リノベーションによって住宅の快適性向上が期待できます。

プレハブ住宅リノベーションの注意点

メリット豊富なプレハブ住宅ですが、リノベーションではいくつかの注意点があります。希望に沿う住宅のアップグレードを叶えるためにも、経験豊かで技術力の高いリノベーション業者を選びましょう。

間取りの変更は制限される

プレハブ住宅は構造上の問題で間取り変更のリノベーションができないことも。業者に確認しよう

リノベーションでは、仕切り壁を取り払って空間を広くしたり、居室を増やしたりといった間取り変更も可能なことが強み。しかし、プレハブ住宅ではこうしたフレキシブルな対応が難しくなります。

柱や壁を動かすとなると、構造や強度面に直接影響を与える可能性があるためです。プレハブ住宅のリノベーションでは間取り変更できないケースを想定したうえで検討しましょう。

間取り変更について詳しくはこちら。
間取り変更リフォームの費用相場は。マンションの場合、構造上の注意点がある?

劣化具合で費用が高額になることも

部材の劣化が進んだ状態になるほど、もろもろの施工費用は高額となります。一般的に建物の劣化や損傷は築年数に比例して著しくなるものですが、プレハブ住宅の場合それが顕著です。

鉄骨のサビや腐食が進んでいる場合はとくに注意が必要です。鉄骨を撤去しほぼすべてのパーツを取り換えるなど、構造から見直すとなれば建て替えるとの変わらないくらいの費用が高額になることも。

ハウスメーカーによって部材の規格や工法が異なる

プレハブ住宅の部材は、ハウスメーカーが独自の基準と方法で製造しています。使用部材と規格がハウスメーカーごとに異なるとなれば、リノベーション会社の対応もそれに合わせるものとなります。「〇〇メーカーの住宅には対応していない」などの業者も存在するため、依頼時にこの点をしっかり確認しましょう。

プレハブ住宅のリノベーション実績のある業者を選ぶ

プレハブ住宅のリノベーションにはいろいろな制約があり、計画が思う通りに進まないこともあるかもしれません。だからこそ、プレハブ住宅リノベーションの長い経験と豊富な実績を持つ業者の選定が大切です。

経験に乏しい業者だと、問題解決の提案や代替案の提示が難しいことも。それどころか、工事そのものを断られる可能性もあります。せっかく願ったリノベーションをあきらめる結果にもなりかねません。

希望通りのリノベーションをするためには、実績豊富で、安心して依頼できるリノベーション会社や工務店を選びましょう。業者を選ぶ際は、見積もりが無料の業者複数社から見積もりを取りましょう。業者を比較することで工費をおさえられることがあります。

プレハブ住宅リノベーションの費用相場

プレハブ住宅のリノベーション費用の相場は、場所や規模、選ぶ設備のグレードによってさまざまです。トータルコストと費用の内訳は事前見積りでしっかり確認しましょう。ここでは参考として、リノベーション内容ごとに費用の目安を紹介します。

内装リノベーションでおしゃれに

内装リノベーションで部屋全体をおしゃれに仕上げたいとき、費用はどれくらいかかるでしょうか? 「壁・天井・床」と「水回り」に分けて解説します。

壁紙・天井・床の張り替え

壁・天井・床のリノベーションは比較的手軽にできて、印象が大きく変わる

6畳規模の部屋の壁・天井クロスを張り替える場合、費用は2万~3万6000円程度です。これは比較的安価なタイプで、デザイン性や品質が高い製品となれば4万~6万円することも。高級感ある布製や紙クロスを使用する場合、さらに費用は高くなる傾向です。

壁紙の張替えについて詳しく知りたい人はこちら。
壁紙リフォームの費用相場は?おしゃれな施工例を紹介

床材の交換も、素材のグレード・タイプを選ぶかで費用は変わります。

《6畳の床張り替え費用の目安》
・複合フローリング:約8万~18万円
・無垢フローリング:約14万~27万円
・クッションフロア:約5万~10万円

床材リフォームには「張り替え」と「重ね張り」のふたつの方法があります。上記は古い床材を撤去して新品と交換する張り替えリフォームの費用ですが、古い床材はそのままで施工する重ね張りであれば、コストカットにつながります。面積や施工方法なども費用を左右するポイントです。

床材の張替えについて詳しく知りたい人はこちら。
床の張り替えリフォーム費用はいくら?床材の種類、張り方をまとめて解説

トイレ・浴室・洗面所

水回りの設備を交換する大掛かりなリノベーションは設備の機能や素材のグレードによってさまざま

トイレのリノベーション費用も、その規模や交換の範囲で変わってきます。機能にもよりますが、便座交換のみであれば数万円程度で済みます。便器ごとの取り替えとなれば安く見積もって約20万円、高くて40万円くらいになることも。2階にトイレを増設する場合、上下水道の引き込み工事が必要なことから、1階工事より高くなるのは避けられません。

トイレリフォームの費用相場について詳しくはこちら。
トイレリフォームの事例ごとの費用相場――安く抑えるコツや補助金、失敗しないための注意点を解説

浴室リノベーション(ユニットバス)の場合は大掛かりな工事が必要なため、予算は100万~150万円ほどかかる見込みです。もちろん、高機能な設備ほど費用は高くなります。

浴室リフォームの費用相場について詳しくはこちら。
お風呂、浴室、ユニットバスのリフォーム費用相場と値段を安く抑えるコツ、注意点を解説

洗面台の交換は、一般的なもので20万円ほど。これには新品の交換費用と施工費に加え、既存設備の撤去費用が含まれます。これがカスタマイズ方式のシステム洗面台となれば費用は倍増、30万~60万円ほどかかることも。床や壁のクロスの張り替えも同時に行うなら、プラス数万円は見積もる必要があります。

キッチン周りの交換費用は、撤去・設置費込で60万円程度です。設備が充実したタイプを選ぶと150万円程度かかります。

キッチンリフォームの費用相場について詳しくはこちら。
キッチン・台所のリフォーム費用相場、高くなるケースと安く抑えるコツは?

機能の向上で住宅の寿命を延ばす

リノベーション目的によっても費用は変わります。住宅建材に新たな性能を加えたり、サビを抑えるために外壁を塗装・補強したりする工事ではどれくらいの費用を要するのでしょうか。以下、詳しく説明します。

断熱材を入れる

住宅の断熱性能を高めるなら、断熱材を入れる施工が必要です。壁の室内側に断熱材を入れる「充填断熱」を施す場合、およそ50万円の費用がかかります。性能によっては100万円かかるケースも。求める性能に応じて製品を選ぶことが大切です。

断熱リフォームについて詳しくはこちら。
断熱リフォームの費用相場は?気になる補助金や効果を紹介

外壁の塗装・サビ対策

サビ対策や雨・紫外線によるダメージ軽減に効果がある外壁塗装。塗料は外壁材の種類に応じて選ぶ必要があります。塗装の前には高圧洗浄機による洗浄が不可欠で、費用にプラスされます。

延床面積30坪の場合、外壁塗装の価格相場は次の通り。
・アクリル:約40万円
・ウレタン:約50万円
・シリコン:約52万円
・フッ素:約64万円
※いずれも足場代や高圧洗浄費などを含む

外壁の劣化状況や汚れ具合によって費用は前後します。必ず事前見積もりで確認しましょう。

外壁リフォームの費用相場について詳しくはこちら。
外壁のリフォーム費用相場は? 工事の種類別に解説

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