「R1」「野菜生活」「チャーミーグリーン」、各社が続々と人気商品を大容量化するワケ

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、「マスク」「消毒液」「トイレットペーパー」などが品薄となりました。生活様式は変化し、食料品、飲料品、家庭用品などの需要も変わってきました。

それは定番ヒット商品の大容量化です。生活必需品の品薄、外出しにくいなどのニーズに対応すべく、各メーカーが続々と「大容量」商品が発売し、いずれもこれまでにはなかった好調な売れ行きを見せているようです。そんな「大容量」商品をピックアップし、各メーカーの生の声を紹介します。


大ヒット「R-1」が大容量で登場

「明治プロビオヨーグルトR-1 プレーン(336g)」

食品メーカー大手・明治の知見によって開発され、2018~19年のドリンクヨーグルト市場でトップとなった「明治プロビオヨーグルトR-1」。明治が保有する6000種類以上の乳酸菌から選び抜かれた「1073R-1乳酸菌」を採用し、今なおヒット続行中の商品です。

全国発売から10年になる今年、「大容量」の「明治プロビオヨーグルトR-1 プレーン(336g)」が発売されました。希望小売価格396円。同じサイズ競合品は100円代であることを考えると、ヒットしにくそうにも思えます。この経緯と動向について明治の広報の方に聞きました。

―「大容量」を発売した経緯と、現在の売れ行き動向はいかがですか?

明治:「明治プロビオヨーグルトR-1」は、発売から10年が経過し、毎日の体調管理に役立つヨーグルトとして、多くのお客様からご支持いただき、市場に浸透してきました。「体調管理」は、子供~大人まであらゆる人が対象となるものであり、今では自分の体調管理のためだけではなく、家族や、身の回りの親しい人のために購買いただく人も増加しております。

このような背景を踏まえ、家族(複数人)で分け合える、そしてそれぞれ好みの味で楽しめるという大容量のプレーンタイプを20年3月に関東限定で発売。10月より全国発売することになりました。

「R-1」の食べるタイプの既存商品と並ぶ売り上げを上げている店舗もあり、着実に市場に浸透しつつあります。100円台で販売されている商品の多いプレーンヨーグルトカテゴリーにおいて高単価(希望小売価格396円)でも、着実に回転する商品として、流通の皆様からも高い評価をいただいております。

―「大容量」であるメリットを教えてください。

明治:家庭内でのシェアや、個人の複数回喫食に適しているので、ご家族で分け合ったり、お好みに応じて複数回に分けたりして召し上がっていただくことで、家族や自身の日々の体調管理をサポートできます。

プレーンタイプなので、そのままヨーグルト本来の自然なおいしさをお楽しみいただいたり、好みに合わせてアレンジしたりできる点もメリットです。

巣ごもりによって「自宅での食」にこだわる人も増えています。また、家族で顔を合わす時間が増えている今だからこそ、高単価であっても皆で楽しめ、味わえる「大容量」商品の支持が高まっているとも考えられます。

コロナ禍の健康意識が高まった?「野菜生活100」

「野菜生活100オリジナル(1リットル)」

カゴメの主力飲料の1つで、1995年に誕生した「野菜生活100」。野菜が持つ栄養素を、手軽においしく摂れる飲み物としてヒットしていますが、この商品もコロナ禍で「大容量」タイプが著しく売れているそうです。

今年1~6月の売上高を前年同期と比較すると、200ミリリットルタイプなどのパーソナルサイズが約4%増だったのに対し、720ミリリットルタイプは約1割増、1リットルタイプは約16%増になったそうです。この経緯と動向についてカゴメの広報の方に聞きました。

―「大容量」を発売した経緯と、現在の売れ行き動向はいかがですか?

カゴメ:「野菜生活100」を主に家族でシェアして飲まれる方や、毎日習慣的に飲まれる方を想定して「大容量」を発売しました。

コロナ禍において消費者の方の在宅時間が増えていること、また健康意識の高まりから、野菜飲料全体の売れ行きが伸びていますが、その中でも「野菜生活100」大容量サイズは特に伸びています。

4種類ある「野菜生活100」のうち、今年3月に発売した「野菜生活100アップルサラダ」は野菜が苦手なお子様にも人気のフレーバーです。シリーズ最新のフレーバーですが、順調に売れ行きを伸ばしています。

―「大容量」のメリットを教えてください。

カゴメ:毎日習慣的に飲んでいただくことができ、ご家族皆さんでシェア、健康管理にも役立ちます。今後もお客さまのニーズを汲みながら、こういった「大容量」商品は検討していきたいと思います。

家族全員の健康を意識し、適度な栄養素を採るためには野菜飲料は手っ取り早いもの。特に消費量が多い家族向けとして「大容量」のニーズが高まっているように思いました。

巣ごもりで太りたくない!「はちみつ黒酢ダイエット」

「はちみつ黒酢ダイエット(900ミリリットル)」

いつの時代でも、「ダイエット」は老若男女が強く意識するワードですが、巣ごもりの運動不足などによってさらに意識が際立っています。そんな中、トレンディドラマで模倣した製品が登場するなど、特に若い層から支持が厚いタマノイ酢のヒット商品「はちみつ黒酢ダイエット」も、特に今年は900ミリリットルの「大容量」の売り上げが好調のようです。

国産玄米のみを主原料とした上質の黒酢と、りんご果汁を合わせたもので、様々な栄養素を摂ることができる飲料です。同商品の「大容量」がヒットしている経緯と動向についてタマノイ酢の広報の方に聞きました。

―「大容量」を発売した経緯と、現在の売れ行き動向はいかがですか?

タマノイ酢:当初は「はちみつ黒酢ダイエット」を定期的に飲まれる方に向けて、900ミリリットルの「大容量」を展開しました。ステイホームによって、できるだけ買い物の回数を減らす傾向が高まり、特に「大容量」の売れ行きが好調となっています。

また、巣ごもり生活が長期化する中で健康志向が高まり、ダイエットへの意識が強くなったことも「はちみつ黒酢ダイエット」が好調の要因の一つではないかと考えています。

―「大容量」であるメリットを教えてください。

タマノイ酢:定期的に飲まれる方にとっては、少量よりも「大容量」のほうがコストパフォーマンスに優れています。現時点では、他商品の「大容量」化の予定はありませんが、市場のニーズを見ながら検討していきたいと考えています。

「大容量」のコストパフォーマンスの良さはもちろんですが、やはりここでも健康志向の高まりと「大容量」との結びつきがあるようで、今後もこの傾向は高まっていくのではないかと感じました。

ライオンからは「大容量」洗剤が続々と登場

「チャーミーグリーン(4リットル)」

そして最後が、洗剤の「大容量」商品。ライオンの「チャーミーグリーン」は1982年の発売以降、食器用洗剤の筆頭商品として浸透していますが、同商品には4リットル仕様の業務用「大容量」が存在します。また、直近では食器用洗剤「チャーミーマジカ除菌プラス(3.8リットル)」、洗濯用柔軟剤入り洗剤「香りつづくトップ(4キロ)」と、いずれも業務用の「大容量」商品をリリース。

いずれもプロユースであり、一般向けパッケージではないものの、特に外出をしにくいコロナ禍では購入を視野に入れたいアイテムです。同商品の成り立ちと動向についてライオンの広報の方に聞きました。

―「大容量」を発売した経緯と、現在の売れ行き動向はいかがですか?

ライオン:ロングセラー「チャーミーグリーン」の業務用、厨房での食品へのニオイ移りに考慮した無香料の「チャーミーマジカ除菌プラス」の業務用は、いずれも油汚れに強く手肌に優しいのが特徴です。プロの現場では食器や調理器具を大量に洗うことが多いため、高品質で使いやすいものが好まれます。こういった点からも、多くのお客さまのニーズにお応えするべく長く安心して使っていただけるよう、「大容量」の業務用の食器用洗剤を発売しています。

また、洗濯用柔軟入り洗剤「香りつづくトップ」も4キロという業務用「大容量」を新発売しました。柔軟剤入りなので、柔軟剤を入れる手間を省ける上、抗菌タイプでもあります。特に不特定多数の衣類を洗う業務用場面で安心して洗濯ができる商品で、好評をいただいています。

「香りつづくトップ(4キロ)」

今後も大量に使われるお客さまに向け、省手間・時短のお手伝いをする商品をより多く発売していきたいと考えています。

買い物回数を減らしたい

業務用として販売されている「大容量」の商品でも、普段から使い慣れている、安心して使えるものであれば、出かけにくく買い物の回数を減らしたいコロナ禍では特に重宝しそうです。こういった商品も今後より注目を浴びるかもしれません。

今回紹介した「大容量」商品に共通することは「体に優しい」「コストパフォーマンスによって節約できる」「消費頻度が早い」ものばかりですが、このニーズが今後も継続すれば、様々な「大容量」商品が今後も登場するかもしれませんよ。

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