巨人の目前V2を阻止したDeNA ヒーロー砂田&平田が感謝したコーチの助言とは?

DeNA・砂田毅樹(左)と平田真吾【写真:荒川祐史】

1点リードの6回1死満塁で砂田、平田と“一人一殺”、ラミレス監督「今日のターニングポイント」

■DeNA 5-2 巨人(29日・横浜)

DeNAは29日、横浜スタジアムで行われた巨人戦に5-2で勝利し、同一カード3連勝を決めた。巨人の優勝マジック対象チームの中日が敗れたため、敗戦ならリーグ優勝が決定する状況だったが、投手陣の踏ん張りで2年連続の目前での優勝を阻止した。

平良とサンチェスの両先発の好投で投手戦の展開となったが、勝敗のポイントとなったのがリリーフ陣の活躍だった。2-1とリードはわずか1点の6回、平良が1死から松原、坂本に連打され、続く岡本に四球を与えて1死満塁のピンチを招いた。ここでラミレス監督は、好投していた先発の平良を諦め、第1打席で本塁打を放っている丸に対して左の砂田をリリーフに送った。選球眼のいい丸にボールが先行し、フルカウントまで持ち込まれたが、最後は決め球のスクリューボールで空振り三振に仕留めた。

2死満塁となり、中島の打席でラミレス監督はすかさず右の平田にスイッチした。簡単に2ストライクと追い込んだ後、ボールが3つ続いてこちらもフルカウントとなったが、最後はスライダーで見逃し三振を奪ってピンチを切り抜けた。

試合後、絶体絶命のピンチを切り抜けた2人のリリーバーは、お立ち台で同じ人物の名前を口にした。砂田は「川村(投手コーチ)さんに、とりあえず丸1人を抑えてこい、と言われた。今日は調子が良かったので、3ボールになったことは気にならなかった。それよりも丸さんには前の対戦でホームランを打たれているので、そちらの方が気になった。抑えた時は、嬉しいというよりはほっとした」と満足そうな表情だった。

平田も「川村さんに頭が突っ込まないことだけを注意しろ、とアドバイスされたので、それだけを意識して投げた。四球だけは出さないようにと思っていたが、キャッチャーがいいリードしてくれたので抑えることができた」と、こちらは表情を変えず飄々と話した。

ラミレス監督「相手の優勝を目の前で見たくない。大きな意味がある」

巨人相手に同一カード3連勝。その原動力となった2人だが、砂田も平田もいわゆる勝ちパターンの継投の投手ではない。平田は開幕からここまで1軍でブルペンの一角にいるが、ビハインドの場面やロングリリーフなど、状況を問わない起用で結果を積み重ね、ラミレス監督の信頼を勝ち取った。着実に自らのポジションを上げており、「すごく毎日が充実していて、野球が楽しいと思えるようになっている。最後までしっかり投げて、いいシーズンだったと思えるように終わりたい」と、本人の表情は明るい。

砂田は今季、開幕から2軍暮らしが続き、10月1日にようやく初の1軍昇格を果たした。キレのいい変化球を小気味よく投げ込む投球スタイルは健在で、こちらも多様な起用法で、ブルペンのスパイス役になっている。今月、子どもが生まれたばかりという左腕は「1児の父として頑張らなければいけないと思った」と、お立ち台で周囲を笑わせた。

ラミレス監督は「あそこが今日のターニングポイントだった」と“一人一殺”の投手起用を成功に導き、巨人戦3連勝の立役者となった2人を称えた。昨季は目前で胴上げを見せられていた経緯もあり、「相手の優勝を目の前で見たくないのはみんな同じ。それもそうだが、優勝チームとなる巨人相手の3連勝というのは大きな意味があるもの」と、指揮官のこの3連戦に向けた意気込みは相当なものだった。

渾身の采配で、目前での巨人のリーグ優勝を阻止したラミレス監督。30日からは“プランB”である2位確保に向けての直接対決となる阪神3連戦(横浜)となる。(大久保泰伸 / Yasunobu Okubo)

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