13試合連続盗塁の鷹・周東でも更新不可能? 福本豊氏の“アンタッチャブル”な記録の数々

ソフトバンク・周東佑京【写真:荒川祐史】

かつてより投手のクイックなどが進化した中で記録を塗り替えた周東

■ソフトバンク 4-3 西武(30日・メットライフ)

29日にPayPayドームで行われたロッテ戦で12試合連続盗塁というプロ野球新記録をマークしたソフトバンクの周東佑京内野手。30日の西武戦でも盗塁を決めて、その記録を13試合連続にまで伸ばした。メジャーリーグ記録は12試合が最長で、これを抜く“世界記録”となった。

周東が抜くまでプロ野球記録を保持していたのは、言わずと知れた「世界の盗塁王」福本豊氏。1971年と1974年に2度、11試合連続盗塁をマークしており、今回、周東は46年ぶりに偉大な記録を更新した。

盗塁に関して数々の偉大な記録を持つ福本氏。同氏が活躍した1969年から1988年に比べ、現代の野球は投手のクイック投球や捕手の二塁送球技術が進化しており、当時よりも盗塁が難しいとされる。その状況で決めた連続盗塁の記録だけに、その凄さは一際輝く。

そして、周東の活躍によって、福本氏が打ち立ててきた数々の記録の凄さもまた再認識させられる。

現在、周東は月間23盗塁を決めているが、月間最多盗塁の記録は1972年8月に福本氏が樹立した27個。周東は現在歴代4位タイとなるが、記録に並ぶためには31日の西武戦で4盗塁、更新のためには5盗塁を決めなければならず、可能性は限りなく低いだろう。

シーズン106盗塁、通算1065盗塁、13年連続盗塁王…

周東は今季49個の盗塁を決め、育成出身者初の盗塁王に近づいている。ただ、シーズン盗塁数の最多記録は、福本氏が1972年にマークしたシーズン106盗塁。さらに歴代2位の95盗塁、同3位の94盗塁も福本氏がマークしたもので、これを塗り替えるのは、いかに周東と言えども難しいだろう。

そして通算1065盗塁、299盗塁死もNPB歴代最多だ。単純な計算でもこの数字に到達するためにはシーズン50盗塁を21年間、続けなければならない。福本氏は1970年から1979年まで10年連続60盗塁超、1983年まで14年連続で50盗塁超をマークし、歴代最多となる13年連続で盗塁王になっている。もはや更新不可能な記録と言えるだろう。

福本氏の凄さは盗塁だけではない。最多安打にも4度輝き、打率3割超も7度記録。1980年の21本塁打を筆頭に11シーズンで2桁本塁打をマークし、通算208本塁打を放っている。出塁率4割超えが4度あり、通算打率.291、通算出塁率.379と高い成績を残している。

福本氏は周東に対して「走りたいなら塁に出ろ」と助言を送ったというが、福本氏の凄まじいまでの盗塁数を支えたのが、この出塁の多さだった。福本氏の記録を塗り替えた周東の13試合連続盗塁はまさに偉業。そして、周東の活躍により、福本氏の凄さもまた改めて再認識させられるものになった。(Full-Count編集部)

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