九州高校野球 大崎山口、逆転打 予想外の先発左腕を攻略

【1回戦、開新ー大崎】6回裏大崎1死二塁、山口が右中間に適時三塁打を放つ=諫早市第1野球場

 2年連続長崎第1代表の名に恥じない試合運びだった。昨秋、58年ぶりに長崎県を制した3年生からバトンを受けた大崎が、その先輩たちが延長の末に惜敗した九州の初戦を八回コールドで突破。悲願の甲子園へまた一つ階段を上ったチームに、清水監督は「気負わず、淡々とやれていた。私を含めて、3年生との経験が生きていると思う」と笑みを浮かべた。
 二回以降、エース坂本が完璧に試合を立て直すと、攻撃陣が奮起した。右腕と予想していた開新(熊本)の先発投手は、ふたを開けると左。緩い変化球を交え、間合いを取らずにどんどん投げ込んできたが、焦らなかった。前へ突っ込まず、ボールをしっかり体に引きつけて快音を響かせた。
 それを勝負どころで体現したのは、背番号15の左打者山口。左腕を相手に体が開く癖もあり、県大会は1試合に途中出場しただけだったが、この日は9番でスタメン起用されると、四回に逆転の2点打を左前へ運んだ。3-2の六回は「直球にタイミングを合わせていた」中で、遅球にうまく反応して右中間へ適時三塁打。清水監督も「出られない間に自分で修正していた」と評価した。
 勝てば選抜出場が有力となる準々決勝の相手は延岡学園(宮崎)。春夏通算10度の甲子園経験があり、知名度は劣るが、それは関係ない。十分に戦える。山口をはじめ、多くの選手が「3年生や地域の人を甲子園に連れていく」と言うように、小さな島のチームの到達点はまだ、ここではない。


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