安打とともに積み重ねてきた“信頼”…DeNAロペス、助っ人初の金字塔に涙した訳

DeNAのホセ・ロペス【写真:荒川祐史】

本塁打で決めたNPB通算1000安打「打った瞬間本塁打になると思いました」

■阪神 13-5 DeNA(31日・横浜)

DeNAは31日、横浜スタジアムで行われた阪神戦に5-13で大敗した。序盤に投手陣が崩れてワンサイドゲームの展開になったが、ロペスがNPBの外国人選手では史上初となる日米両国での1000安打を達成した。

MLBで1005安打、日本では8年目で999安打を放ってきたロペスが、4回の第2打席にソロ本塁打を放って大台に。打った瞬間に本塁打を確信すると、打席を一歩出たところで立ち止まって両手を突き上げ、さらにダイヤモンドを一周したホームベース上でも再び両手を上げて喜びを露わにした。「カンペキデス!」といつもの言葉で本塁打を振り返り「感触、角度が良かったので、打った瞬間本塁打になると思いました。記録達成することができて正直ホッとしています」と晴れやかな表情で話した。

試合後の記念セレモニーでは、自身の軌跡を辿ったVTRが映し出された。ロペスは「とても感動しています。自分のキャリアを振り返ると、いい時も悪い時もあったが、メジャーでも日本でも活躍することができて嬉しい」と、スタンドに残った観客の拍手に応えた。

NPBの外国人選手としては前人未到の記録達成にも「数字は意識せず、毎日楽しく野球をやってきた。チームに貢献することだけを考えて、その結果として、このような記録を達成することができた」とロペス。ベイスターズでの達成について「日本では2球団目になるが、スタジアムのファン、チームメイト、スタッフ、すべてが素晴らしいし、横浜の街も好きなので、ここで達成することができて嬉しい」と噛み締めた。

ライバルにも惜しみない助言…誰からも愛され慕われる存在に

セレモニーでのVTRでは、家族や母親、兄弟に加えて、米国時代にチームメートだったエイドリアン・ベルトレ氏らからの祝福メッセージが流れ、最後は昨年まで共に戦っていたレイズの筒香嘉智も登場した。VTRが終わり、言葉を詰まらせたロペスは「こんなVTRがあるとは知らなかった。みなさんに本当に感謝しています。また、だいぶ前に亡くなった姉とその旦那さん、それから野球を教えてくれた人にも、心から感謝したいと思います」と涙を拭った。

日本人選手で日米両国での1000安打を記録した選手は、イチローと松井秀喜の2人。マリナーズ時代に同僚だったイチローがシーズン最多安打記録を達成した際、ロペスはその場に居合わせていた。「一緒にプレーしている時に、どうやってヒットを打つかを学んだよ」と笑うロペスだが、日本ではキャリアを重ねるにつれ、ライバルともなる外国人選手にも惜しみないアドバイスを送っている。「自分が来日して1年目の時、当時の同僚にアドバイスをもらったので、自分もやっているだけ。日本でより良い成績を収めてもらいたいと思っているから」という姿勢は、国籍を問わず、チームの誰からも愛され、慕われる存在になっている。

外国人選手として唯一、NPBで2000安打を記録しているラミレス監督は「アメリカで1000本打つということは当然コンスタントに活躍しなければできないことだし、日本でも同じように安定した結果を残して、トータルで2000本というのは素晴らしい記録。外国人でこのような記録を残したのは彼だけ。僕も大きなリスペクトを持っている」とロペスを称賛。日米通算17年間の野球生活で、日本球界に新たな金字塔を打ち立てた。(大久保泰伸 / Yasunobu Okubo)

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