「植物性ミルク」市場が活況!アーモンドミルクに続く、マカダミアミルクってなに?

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健康志向の高まりで、植物性ミルクに注目が集まっています。日本では豆乳が代表的ですが、ココナッツミルク、アーモンドミルクなども植物性ミルクです。嘘か誠か、「飲むと美人になる」という説もあり、特にカルディなどの輸入食材を扱うお店では強い支持があります。

そんな中、キッコーマン飲料から「マカダミアミルク」を使った植物性ミルクが発売されました。「マカダミアがミルクに?」と思いますが、そこは豆乳市場を切り開いた同社。この耳慣れないミルクの正体と、植物性ミルク市場について、同社・チルド営業本部で、豆乳マイスターの資格も持つ荻生康成さんに取材しました。


「植物性ミルク」の選択肢を増やしたい

――豆乳のシェア50%以上のキッコーマン飲料が、ここに来て「マカダミアミルク」を手がけることになった経緯と理由を教えてください。

荻生: おっしゃる通り、キッコーマン飲料の中で豆乳は主力商品のひとつです。「大豆の栄養を届けたい」という思いで豆乳の販売をはじめた一方で、その背景には「体に優しい植物性タンパク質を使って、健康的な飲み物を提供したい」という思いもありました。この理由から豆乳だけではなく、現在甘酒も販売していますし、過去にはアーモンドミルクを販売したこともあります。

近年、欧米では「植物性ミルク」市場がものすごく広がってきていて、豆乳=ソイミルク、アーモンドミルク、ココナッツミルクなどが続々と開発され、市場も右肩上がりで伸びてきています。この影響もあり「植物性ミルク」は日本でも馴染みのある言葉になってきました。

しかし、日本には40年以上前から豆乳があり、「植物性ミルク」の人気の理由や背景は海外と日本では少し異なると考えています。現在、豆乳の国内生産量は9期連続で過去最高を更新しており、キッコーマン飲料の豆乳はクリーミーでまろやかな味わいをご好評いただいております。

豆乳によって広がった市場

豆乳は大豆の栄養を摂るために習慣的に飲んだり、料理に使ったりする方が増えています。特に、様々な味わいが楽しめるバナナや紅茶など味付きの豆乳飲料は、おやつやスイーツの代わりに嗜好品として飲んでくださる方も多数おり、アーモンドミルクなども同様だと考えています。

このように嗜好品として植物性ミルクを楽しむ方に、新たな味わいをお届けしたく、クリーミーでまろやかな味わいが楽しめるマカダミアナッツを使った「植物性ミルク」を発売しました。

ゼロベースで開発した「マカダミアミルク」

――しかし、キッコーマン飲料が新たに手がける植物性ミルクが、「マカダミアミルク」というのが意外でした。

荻生: 過去の経験からすると、前述のような「ヨーロッパで流行っているもの」「アメリカで流行っているもの」をそのまま日本で紹介しても、そう簡単にはうまくいかないと考えました。日本の皆さまに「おいしい」と思ってもらうことができ、「また飲みたい」と思ってもらえる味わいでないと、豆乳やアーモンドミルクのように定着しないと思ったのです。

そこで、日本人にチョコレートやアイスの食材として好まれ、馴染みのある「マカダミアナッツ」に着目しました。海外に「マカダミアミルク」はありますが、市場はそう大きくはありません。日本の皆さまに「おいしい」と思ってもらえる新たな植物性ミルクを目指し、ゼロベースで開発しました。

マカダミアの実。最大収穫量を迎えるまでに10~15年の時間を要するそうです
©Australian Macadamia Society.

実はハワイ原産ではない!マカデミアとは

――「マカダミア」と聞くと、よくハワイ土産でもらうマカデミアナッツのチョコレートの印象が強くて、「あれがミルクになるのか!?」というのが率直な感想でした。

荻生: 確かに、ハワイ土産のマカダミアナッツの印象が強いため、原産地はハワイだと思っていらっしゃる方が多いようですが、実はオーストラリアが原産地です。ハワイは台風が結構通りますので、防風林の木が必要で、そのためにオーストラリアからマカデミアの木が移植されたという話を聞いています。

実は我々もハワイが原産地だと思っており、オーストラリアのファーマーさんとお会いした際にお話したところ、とても怒られました。同時にオーストラリアのファーマーさんはマカダミアナッツに対して相当なこだわり、誇りをもたれているのだと思いました。

オーストラリアのマカダミア農家の様子。マカダミアの歴史は6千年以上とも言われています
©Australian Macadamia Society.

どうやって生産されるのか

――そのマカダミアをどのようにして抽出し、ミルクに転じるのでしょうか。

荻生: 成熟して自然落下したマカダミアナッツを収穫後、ハスク(一番外側の皮)を剥きます。硬い殻を割り、丁寧にローストした後、優しくすりつぶしてなめらかなペースト状にします。

このペーストを作る際、マカダミアナッツ本来のおいしさが引き立つように、クリーミーな味わいに仕上げるのに苦労しました。仕上がったペーストを他の原材料とブレンドし出来上がります。

「世界一硬い殻を持つ木の実」と言われるマカダミアナッツですが、それは同時に外からの影響を受けにくく、美味しさと栄養をギュッと蓄えている証でもあります。ビタミン、ミネラル、植物繊維、不飽和脂肪酸などが含まれており、特に赤ちゃんの肌に多く含まれているパルトミトレイン酸の含有量は、食品の中でもダントツすね。

飲むと美人になるってほんと?

――「植物性ミルクを飲むと美人になる」という説は全く嘘ではないですね。

荻生: はい。その点で言うと「植物性ミルク」の中でもマカダミアナッツはダントツだと思います。

赤ちゃんの肌に含まれるパルトミトレイン酸を多く含むマカデミア。つまりお肌を優しく維持できる要素もあるそうです
©Australian Macadamia Society.

飲み方、使い方は?

――今回発売された「マカダミアミルク」は、「オリジナル」と「砂糖不使用」の2フレーバーです。この2つの違いを教えてください。

荻生: 「オリジナル」のほうが微糖で、ほんのわずか砂糖を加えて、マカダミアミルクのクリーミーさを引き立てています。また、「砂糖不使用」のほうは砂糖をいっさい入れておらず、「マカデミアミルク」本来の風味を楽しめる味わいです。

――特に「砂糖不使用」のほうは、正直マカダミアナッツ特有の豆のえぐみ、苦味もありそうな先入観があります。

荻生:そう思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、かなりクリーミーです。マカダミアナッツは、あらゆるナッツの中でも「特に口どけが良く、バターのような風味」と言われていますが、飲み物にしても、この口どけの良さがクリーミーさに反映されています。皆さん、飲まれると「美味しい」と驚かれることが多いです。

――今では豆乳をそのまま飲むだけではなく、料理に使う方も多くいらっしゃいます。「マカダミアミルク」も、料理にも使えるのでしょうか?

荻生: 将来的には、飲み物だけでなく、広義での「植物性ミルク」の一つとして、コーヒーや紅茶に入れたり、スイーツや料理の素材に使っていただいたり、シリアルにかけて食べて頂いたりするのもご提案していきたいなと思っています。そのために「砂糖不使用」を用意しました。

マカデミアミルク「オリジナル」「砂糖不使用」の2種。いずれもクリーミーな味わいが楽しめます

「動物性ミルク」「植物性ミルク」が共存

――最後に「植物性ミルク」市場の今後ですが、キッコーマンではどうなると良いとお考えですか?

荻生: 最初に言っておきたいことは、「動物性ミルク」に対して「植物性ミルク」が必ず優れているということはないと考えています。その上で「動物性」「植物性」両方が共存し、人間の健康を意識した上で選択されていくものだと思っています。

ミルク全体の消費量は増えていますので、その中での選択肢が増えればより素晴らしいじゃないかというのがキッコーマンの考えです。マカデミアミルクは「植物性ミルク」ですけど、豆乳、アーモンドミルクなどと合わせて、様々な楽しみ方をご提案していければ良いなと考えています。