「ウィズコロナ」時代の地域防災 藤沢で11月訓練へ、3密回避と安全両立目指す

御所見地区で2019年に行われた避難誘導訓練=藤沢市

 新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、「ウィズコロナ」下での地域防災を想定した総合訓練が11月14日、神奈川県藤沢市北部の御所見地区で行われる。同地区防災組織連絡協議会(椎野幸一会長)が主催し、地域住民約250人が参加する。実践的な訓練を通して、住民の安全確保と「3密」の回避など災害時の感染リスク管理の両立を模索する。

 同協議会は2006年に発足し、毎年秋に総合防災訓練を行ってきた。新型コロナの感染が長期化する中、今年は「コロナ禍対策特別訓練」の意味合いも込め、規模を縮小して実施することになった。

 同地区内の計13の自主防災組織が参加し、マスクの着用、3密の回避、手洗い・消毒、事前の検温といった感染対策を徹底した上でそれぞれの役割を確認する。地域の高齢化が進行している状況を踏まえ、特に高齢者や障害者ら要支援者の安否確認に絞り込む。

 同協議会は15年の総合訓練で、市内で初めて地区の全世帯を対象に、無事を知らせるタオルなどを家屋の玄関前に提示する方式で安否確認を実施。災害時に機能するよう課題を洗い出しながら実践を重ねてきた。

 従来の訓練では、自主防災組織の班長が担当エリアの世帯を巡回し安否を確認。同組織が指定する一時避難場所から訓練会場の御所見市民センターに参集した後、組織ごとに取りまとめた結果を伝える手順を決めている。しかし、今年は3密を避けるため、全員が集まることはせず、現場から携帯電話で結果を伝える方式を導入する。

 訓練終了後には、各自主防災組織ごとに感染防止対策と安否確認や一時避難所での3密回避など「ウィズコロナ」の状況下で防災・減災の在り方をまとめ、これからの地域防災に反映させる考えだ。

 今後、避難所には間仕切りや消毒液、検温器など新型コロナ感染防止の観点が不可欠となる。椎野会長は「災害はコロナと関係なく発生する。対策を講じ感染リスクを管理しながら、いかに住民の安全を確保するか。訓練の実践の中で課題を抽出していきたい」と話している。

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