DeNA梶谷、愛妻に届けたサヨナラ打に「最高です」 最多安打&首位打者に向け猛進

DeNA・梶谷隆幸【写真:荒川祐史】

「自分で決めるつもりで打席に入った」

■DeNA 6-5 阪神(1日・横浜)

DeNAは1日、横浜スタジアムで行われた阪神戦に6-5でサヨナラ勝ちした。終盤にもつれた試合展開で、8、9回のピンチをリリーフ陣が切り抜けた後、梶谷が勝敗を決するサヨナラ打を放った。負ければ順位争いで厳しい状況となる試合で、今季復活を果たした32歳が値千金の働きを見せた。

先発した阪口が5回1失点でプロ初勝利の権利を得たが、7回にイニングまたぎとなったパットンと後を継いだ砂田がリードを守れず、レフトスタンドを黄色に染めた阪神ファンが歓喜した。それでもその裏、先頭の細川が平凡なフライをマルテが落球してファールになった直後に本塁打を放ち、再びDeNAに流れが傾いた。1死後に大和、戸柱の連打で1、2塁のチャンスを作り、ソトがこの日3打点目となるタイムリーを放って試合を振り出しに戻した。

同点とした直後の8回には、DeNA5番手の伊勢が作った1死満塁のピンチを替わった石田が代打の糸井と近本を打ち取った。さらに9回には、この回から登板した三嶋が自らの失策から1死満塁としたが、こちらは自身で陽川、木浪を抑えて同点のまま9回裏の攻撃を迎えた。

入場制限の緩和に向けた実証実験の試合で、一塁側とライトスタンドを真っ青に染めたベイスターズファンのサヨナラへの期待が高まる中、2死三塁の場面で試合を決める一打を放ったのは、7回のチャンスで凡退していた梶谷だった。

最多安打争いで現在トップの大島の140本に対して、梶谷は138本と現在2本差

「自分で決めるつもりで打席に入った」という梶谷だが、その気持ちとは裏腹に、ボールが3球続いた。4球目も低めでストライクゾーンから外れたが、大きなスイングで空振り。「ボール球だったが振りにいった。気持ちがそうさせたと思う」と振り返る。

5球目に高めに来た148キロを振り抜いた打球は、やや詰まり気味だったが、「頼む、落ちてくれという感じだった」という願いが通じ、打球は前進して来たレフトの前でバウンド。会心の一打ではなかった殊勲打を「僕らしいヒットかな、と思う」と苦笑いしたが、ナインの歓喜の輪の中で水をかけられたことに関しては「いいものですよ」と笑った。お立ち台では「今日は奥さんが球場に来ているので、カッコいいところを見せたいと思っていた。最高です」と開口一番にプライベートな事情を明かし、場内を沸かせた。

この日を5打数2安打で終えた梶谷は、打率.326となり、首位打者争いでトップに立つ佐野に2厘差とした。故障で今季の出場が絶望的となった佐野の.328が目標となるが、全試合終了前にこの数字を超えた、あるいは並んだとしても、残り試合を欠場するわけにはいかない事情もある。

最多安打争いで現在トップの大島の140本に対して、梶谷は138本と現在2本差で、2つのタイトル獲得の可能性もあるからだ。残り試合とタイトルについての質問に関しては「あまり考えたくない」と多くを語らなかった。チームもこの日の勝利で阪神とのゲーム差が2ゲームとなり、最後まで順位争いも予断を許さない状況になっている。ここまでリードオフマンとしてチームを引っ張ってきた梶谷が、最終戦まで出場しての2冠獲得でチームは2位で終了。これこそ誰もが望む結果であることは間違いない。(大久保泰伸 / Yasunobu Okubo)

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