『踊る大捜査線』シリーズの本広克行監督が、押井守原案のストーリー「夢みる人」を映画化。日本を代表する映画監督たちが「監督絶対主義」で制作する「Cinema Lab(シネマラボ)」の第1弾作品です。
文化祭前日の美大の校内で、映画研究会の部室のどこかに幻の映画があるという不思議な夢を見た部員のサラは、古いダンボールから脚本と演出ノートと1本の16ミリフィルムを発見します。突然訪ねてきたOBのサイトウタクミ先輩によれば「撮ろうとすると必ず何か恐ろしいことが起こる」という、映研に代々伝わるいわくつきの台本。映画を撮ったことがない映研のメンバーたちは、その映画を完成させようと一念発起! 映画を作ろうと悪戦苦闘する青春群像を、『サマータイムマシン・ブルース』や『幕が上がる』と青春映画を撮ってきた本広監督ならではのリズムの良さで爽やかに描いています。
ヒロインのサラを演じるのは、自身も映画監督として活躍する小川紗良。サラの「映画を作りたい!」という情熱を湛えたキラキラと光る瞳はすごく印象的で、彼女の存在がこの映画を本当のキラキラ青春映画にしています。冒頭の斎藤工を始め本広監督のもとに集まった多くの有名俳優たちが嬉々としてカメオ出演を楽しんでいるのもこの映画の魅力の一つ。主人公と映研メンバーたちのお芝居をさらに引き立てる、ベテランたちならではの面白すぎるアドリブ演技に思わず吹き出してしまいました。映研ってこうだよな、っていう「メッセージ性が強すぎて、全然意味わからない」ヘンテコ映画をみんなが必死に作る姿に妙な熱さを感じて、「ああ、やっぱり映画いいわ!」としみじみ思わされる、映画愛に溢れた映画でした。★★★★☆(森田真帆)
11月6日から全国順次公開
監督:本広克行
出演:小川紗良