三菱のSUV戦略に新展開!? いまアウトランダーに何が起きているのか?

2020年10月29日、三菱自動車はプラグインハイブリッドSUVのアウトランダーPHEVを一部改良するとともに、グレード展開の見直しを発表し同日から全国の系列販売会社で販売を開始。一方、三菱自動車の公式サイトでは、ガソリンモデルであるアウトランダーの販売終了がアナウンスされた。三菱の主力車種であるアウトランダーシリーズに、いったい何が起きているのか? 今後の展望も踏まえ詳しく紐解いていこう。

三菱 アウトランダーPHEV

アウトランダーPHEVを一部改良し入門グレードを廃止

入門グレードを廃止し安全装備を拡充

継続販売される特別仕様車「BLACK Edition」

世界初のプラグインハイブリッドSUVである三菱 アウトランダーPHEVは、これまで世界60か国以上で販売され、2020年8月末まで26万台以上を販売。世界でもっとも売れているプラグインハイブリッドモデルだ。

今回の一部改良では、これまで上級グレードにのみ標準装備されていた後側方車両検知警報システム(レーンチェンジアシスト機能付)[BSW/LCA]と、後退時車両検知警報システム[RCTA]を全グレードに標準装備。加えて、車両接近通報装置の法規対応に伴い、車両接近通報OFFスイッチを廃止し、通報音の音量と音質が最適化された。

また、グレード展開を見直し、「S Edition」「G Premium Package」「G Plus Package」「G」の4グレードに加え、特別仕様車のBLACK Editionが継続販売。価格は436万4800円~529万4300円(消費税込み)となる。

新登場するエクリプスクロスPHEVと差別化

アウトランダーPHEV, エクリプスクロスPHEV
アウトランダーPHEV, エクリプスクロスPHEV

今回のグレード整理により、唯一300万円台だった「G LIMITED EDITION」が廃止された理由は、2020年12月に発売を開始するエクリプスクロスPHEVとの住み分けと見ることができる。

事前の発表で新型エクリプスクロスの販売価格は、ガソリンモデルが約255〜335万円、PHEVモデルは約385〜450万円で、アウトランダーPHEVの入門グレードだった「G LIMITED EDITION」の価格が393万9100円(消費税込み)なので、価格帯はかなり近い存在だったのだ。

今回のグレード整理によって、約10万円弱だった入門グレードの価格差は約50万円に広がり、若々しい印象のエクリプスクロスPHEVと、より上質感のあるアウトランダーPHEVという住み分けがハッキリした。

ガソリンモデルのアウトランダーは販売終了

アウトランダー(ガソリンモデル) グレード:24G Plus Package

3列シートSUVが一時的に消滅

現在の三菱自動車のアピールモデルであるPHEVが刷新される一方、公式サイトには、「アウトランダーは生産終了のため、ボディカラー、オプションなどがお客様のご希望に添えない場合がございます。詳しくは営業スタッフへお問い合わせください。」と記載され、アウトランダー(ガソリンモデル)の生産終了がアナウンスされた。

アウトランダーPHEVには3列シートの設定がないため、アウトランダー(ガソリンモデル)の生産終了によって、ラインナップから一時的に3列シートSUVが消滅することになる。国産の3列シートSUVは希少な存在であるため、次期購入候補に予定していた方は、早めに問い合わせた方が良いだろう。

グレードとモデル整理は電動化戦略の布石か!?

新型エクリプスクロスPHEV

一つのモデルが生産終了と聞くと、なんだか消極的で寂しい印象を受けるかもしれないが、今回のアウトランダー(ガソリンモデル)の販売終了は、見方を変えれば前向きな“刷新”と見ることができる。

三菱自動車は、2020年7月27日に発表した中期経営計画「Small but Beautiful」において、2021年度に次期「アウトランダー」の導入を示唆。また、2022年度には次期「アウトランダーPHEV」の導入をも発表されているのだ。

世界をリードする新型モデル登場に期待

ルノー、日産と共に形成するアライアンスにおいて、三菱自動車はプラグインハイブリッドSUVの開発を担う。加えて、時期の明記はないものの、EVの軽自動車を日産と共同開発することも示唆されている。

三菱自動車と言えば、世界初の量産電気自動車「i-MiEV」や、世界初の4WDプラグインハイブリッドSUVとしてアウトランダーPHEVを世に送り出してきた。現在の主力車種であるアウトランダーシリーズのグレード見直しや販売終了は、次期モデルの登場が確実に近づいているということの現れであり、エクリプスクロスPHEVに続く新型モデルの登場に期待したい。

© 株式会社MOTA