レーシングポイントF1、ハードタイヤでのリスタートを懸念してペレスのタイヤを交換「ソフトよりの新品が一番安全」

 レーシングポイントが犯したミスは非常に高くついた。2020年F1第13戦エミリア・ロマーニャGP決勝の51周目にセーフティカーが導入された時に、チームはタイヤ交換のためセルジオ・ペレスをピットに呼び戻したのだ。

 セーフティカーは、右リヤタイヤがパンクしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)のマシンをマーシャルがトラックの端から回収するために導入された。だがウイリアムズのジョージ・ラッセルがスピンしたため、彼のマシンも回収する必要があり、セーフティカーは57周目の終わりまで長時間にわたって走行した。

 フェルスタッペンのリタイアによって、ペレスは3番手に順位をあげたが、その後ピットストップを行った。そうすべきではなかったのに、チームはなぜピットストップを行ったのだろうか?

 レーシングポイントのテクニカルディレクターを務めるアンドリュー・グリーンは、何が起きていたかを説明した。

「違う展開になる可能性もあった。レースは、セーフティカーが入るまでは完全に我々に有利になっていた。セルジオは巧みに素晴らしいペースを発揮して4番手に上がっており、ミディアムタイヤを長くもたせて集団をオーバーテイクしていった。彼のドライビングは素晴らしかったし、マシンは非常に強力だった」

「我々はその状況に非常に満足していたが、最悪のシナリオになる可能性があるのがセーフティカーだ」

「これには常に難しい決断を迫られる。我々はハードタイヤを履いていた。マシンのセットアップは完全にロングランに向けたものだったが、レース中にセーフティカーの後ろでハードタイヤを履いてリスタートしなければならないことに、我々は非常に神経質になっていた。苦戦しただろうと思う」

「だから一番安全で、そして最も合理的だと考えたのは、彼のタイヤをソフト寄りの新品タイヤに交換することで、それは心配するようなことではなかった」

2020年F1第13戦エミリア・ロマーニャGP セルジオ・ペレス(レーシングポイント)

「我々は他のドライバーもそうするだろうと考えていたが、彼らがレースに向けてどのようにセットアップを行っているのかについては、多くの要素が関係している。そのことは我々のレースペースに表れていただろう。なぜなら我々はタイヤを労わるようにマシンをセットアップしており、オーバーヒートさせないようにしていたのだ。だから我々はあのような状況でセーフティカーの後ろにいると、いつも苦戦していた」

「そして2回目のインシデント(ラッセルのスピン)が起きた。これは予測できなかったことだ。オーバーテイクをするための周回数がふたたび短縮され、かなりの違いが生まれたために、我々にとって不利になった」

「今となってみれば、違う判断をしていたかもしれないが、当時の情報によって導き出した決断がそれだったのだと思う」

 セーフティカー終了後、ペレスはアレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)を抜いてポジションを上げたものの、最終的には6位でフィニッシュした。

「今日は明らかに表彰台を狙うことができていたから、逃してしまったのは残念だ」とペレスは語った。

「後知恵によって批判をするのは簡単なことだ。でも結局のところ、僕たちはステイアウトしてコース上での順位を維持するべきだったね。でもチームを批判したいわけではない。重要なことは、次回に向けて教訓から学ぶことだ。それでも僕たちは11番グリッドから6位まで順位を上げ、多くのポイントを獲得する素晴らしいパフォーマンスを発揮したんだからね」

2020年F1第13戦エミリア・ロマーニャGP セルジオ・ペレス(レーシングポイント)

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