鷹育成2位の八戸学院大・中道は「周東と一緒」 スカウトが明かす“成り上がる”秘訣

ソフトバンクから育成2位で指名された八戸学院大・中道佑哉【写真:高橋昌江】

ソフトバンクから育成2位で指名された八戸学院大の中道佑哉投手

東北地区大学野球王座決定戦が10月31日、東北福祉大学野球場で行われ、八戸学院大(北東北大学野球連盟準優勝)は東北福祉大(仙台六大学野球連盟優勝)にタイブレークの延長10回、2-4で敗れた。先発は26日のドラフト会議でソフトバンクから育成2位で指名された中道佑哉投手(4年、野辺地西)。登板を見守った担当スカウトらは“世界記録”を樹立した快速選手のかつての姿を重ね、支配下へのポイントを明かした。

夢の扉が開いてから初めて立ったマウンドはほろ苦かった。四死球でピンチを招いて4回まで2失点。「全然、ダメでしたね。みんなに申し訳ないなという気持ちです。プロでこうならないように、修正していくだけ」。変則的な投球フォームから最速146キロの直球にスライダー、スプリット、チェンジアップを織り交ぜた投球スタイルの左腕の表情は冴えなかった。

だが、反省ばかりが口をついた本人とは逆に、担当の作山和英アマスカウトチーフ補佐は心配はしていない様子だった。3安打のうち、1本が内野安打。ヤクルト4位の元山飛優遊撃手(4年、佐久長聖)に打たれた右翼線二塁打もやや詰まり気味だった。それだけに、「捉えられた当たりはあまりなかった。ボールの出どころが見づらく、140キロ超えのストレートで差し込んでいる。持ち味を出しているんじゃないかな」。そして、こう言った。

「周東も自分に対する見積もりが低かった」

「プロに入ってきた頃の周東と一緒」

先月30日にメジャー記録を上回る「13連続試合盗塁」を記録したソフトバンク・周東佑京内野手。作山スカウトが東農大北海道オホーツクの1年生の頃から見てきた選手だ。

「周東も自分に対する見積もりが低かった。大学生でも、そこが追いついていない選手がたまにいる。中道もそのタイプだよね」

そして、東北担当のスカウトたちが「気持ちの強さ」も評価していた八戸学院大のチームメイトで、広島3位の大道温貴投手(4年、春日部共栄)と対比。作山スカウトは「大道がこのくらいのレベルだったら」と左手を顔の高さに持っていくと、「中道はこの辺なの」と右手は腹のあたりに持っていった。4年間、指導した八戸学院大・正村公弘監督も「中道は前に出ない。そこが物足りない。プロの世界に行って、前に出ないとダメだということを感じられれば、投げられるようになると思うんだけどね」と指摘する。「だから、気持ちが上がってきたら、全然、変わると思う」と話す作山スカウトの隣で、福山龍太郎アマスカウトチーフは「(必要なのは)心のビーカーを大きくしてあげる作業ですね」と優しく笑った。

青森県十和田市出身。大学まで青森で過ごした左腕は「もっと練習しないといけない。レベルアップできるように頑張ります」と誓った。周東と同じ育成2位から駆け上がる秘訣。それは、スカウトの眼力を自信に、自分の可能性を信じ抜くことだ。(高橋昌江 / Masae Takahashi)

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