Gグラブ賞決定に使用された守備指数 前田は2位、秋山は3位

今季のゴールドグラブ賞の選考は、監督・コーチによる投票が行われず、アメリカ野球学会が算出する「SABR Defensive Index」(略称SDI)という守備指数に基づいて受賞者が決定された。すでにアメリカ野球学会のホームページではSDIのランキングが公開されており、前田健太(ツインズ)はアメリカン・リーグ投手部門2位、秋山翔吾(レッズ)はナショナル・リーグ左翼手部門3位で惜しくも受賞を逃す結果となった。

1957年に創設されたゴールドグラブ賞は、各球団の監督とコーチによる投票により受賞者が決定されてきた(自軍の選手には投票不可)が、2013年からSDIも考慮されるようになった。とはいえ、SDIが選考に占める割合は25%に過ぎず、監督・コーチによる投票の結果が75%という大部分を占めていたため、フィールド上での印象などに左右される部分も大きかった。

しかし、今季は60試合制という短縮シーズンでの開催となり、しかもレギュラーシーズンは同地区内での対戦のみとなった。監督・コーチは限定された球団の選手のプレーしか目にしていないため、ゴールドグラブ賞の選考における監督・コーチによる投票は中止。例年25%だったSDIが占める割合を100%としてゴールドグラブ賞の選考が行われた。

アメリカ野球学会のホームページで公開されているランキングを見れば一目瞭然だが、ランキングで上位の選手が順当にファイナリストに名を連ね、ランキングで1位の選手がゴールドグラブ賞の受賞者に選ばれている。ファイナリスト発表の際、レイズの名手ケビン・キアマイアーの名前がないことに驚きの声が上がったが、キアマイアーはア・リーグ中堅手部門で4位。ア・リーグ全体で8位という好成績ながら、キアマイアーより優れた数値を記録した中堅手が3人もいたため、ファイナリストから漏れる結果となった。

SDIは守備指標の代表とも言える守備防御点(DRS=Defensive Runs Saved)のほか、UZR(=Ultimate Zone Rating)、RED(=Runs Effectively Defended)、DRA(=Defensive Regression Analysis)、TZR(=Total Zone Rating)といった各種の守備指標、さらにはStatcastが集計したデータなどを総合して算出されている。こうしたデータと実際のプレーを見た印象との乖離は存在するかもしれないが、今季は「SDIで1位の選手がゴールドグラブ賞」という極めてわかりやすい選考となった。

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