教育費は毎月いくら貯めればいい?30代前半1歳4歳の子持ちファミリーの場合

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、32歳、会社員の女性。会社員の夫と1歳と4歳の子育て真っ最中の相談者。二人の子どものために、毎月いくら教育費を貯めていけばいいのでしょうか。溜め込み過ぎず有意義に使っていきたいという希望です。FPの氏家祥美氏がお答えします。

教育費をいくら貯めれば良いかわからない。貯金も重要だと認識しているが、貯め込み過ぎずに有意義に使っていきたいとも思っている。そのためにも必要な月々の貯金額を知りたい。また、固定費削減のために、保険が最適かも知りたい。

【相談者プロフィール】

・女性、32、会社員、既婚

・同居家族について:夫34歳、共働き夫婦と保育園児(1歳、4歳)の4人家族

・住居の形態:持ち家(マンション・集合住宅)

・毎月の世帯の手取り金額:57万円

・年間の世帯の手取りボーナス額:未定(昨年は220万)

・毎月の世帯の支出の目安:46万円

【毎月の支出の内訳】

・住居費:20万円

・食費:3万円

・水道光熱費:1万5,000円

・教育費:2万7,000円

・保険料:3万5,000円

・通信費:2,000円

・車両費:2万6,000円

・お小遣い:8万円

・その他:3万円

【試算状況】

・毎月の貯蓄額:11万円

・ボーナスからの年間貯蓄額:100万円

・現在の貯蓄総額:1,000万円

・現在の投資総額:23万円

・現在の負債総額:4,600万円

【保険】

夫:

・三大疾病保険(積立型) 三大疾病か死亡で200万…月々4500円60歳まで払込終身補償

・変額保険(積立型)死亡270万…月々1万、20年払込(学資保険代わり)

・ドル建て年金保険…死亡300万、月々1万4,500円(円換算後) 60歳から受取可 返戻率140〜200%

・医療保険…入院日額5,000円、月々2500円60歳まで払込終身補償

相談者:

・三大疾病保険(積立型)… 三大疾病か死亡で200万…月々4,500円を60歳まで払込終身補償

・死亡保険(積立型)…死亡300万

・他、会社で死亡1000万、入院5000円。


氏家:こんにちは。ファイナンシャルプランナーの氏家祥美です。今回は、30代前半の共働きファミリーから、教育費についてのご相談をいただきました。貯め込みすぎずに有意義にお金を使っていきたいと考える場合、教育費はいくら貯めたらいいの?というご相談にお答えします。

視界良好。年間221万円貯めている優良な共働き家計です

最初に、今回のご相談者さんの家計全体を俯瞰していきましょう。

夫婦共働きで、未就学児のお子さんが2人いる共働き家庭のご相談者さんは、毎月11万円ずつ貯蓄をしています。ボーナスからも年間100万円の貯蓄ができているため、今のペースで行くと毎年221万円の貯蓄ができる計算になります。

このご家庭のいいところは、人生の意思決定が早いところです。30代前半にしてお子さんがすでに2人いて、マイホームも取得済のため、お金を貯める目的がはっきりしています。ローン残高が4,600万円あり、毎月の住居費も20万円というところは難易度が高めですが、教育費がピークに達するまで、このほかには大型の出費は無さそうです。

住宅ローンの詳細は伺えていませんが、この残高を仮にあと30年間で返済したとしても。夫64歳で受託ローンを完済できることになります。現在1歳のお子さんが大学を卒業して自立するとき、夫は56歳、妻は54歳と定年退職まで時間があります。

そのため、これからはローンをたんたんと返済し、教育費を貯めていけば、定年退職を迎えるころにはすべてがスッキリ片付きそうです。教育費が終わった後に老後資金を貯める期間が残されていますし、勤務先から退職金が支給されたらそれもすべて老後資金に充てられるでしょう。

教育へのこだわりは?夫婦で教育プランを話し合って

「教育費をいくら貯めれば良いかわからない」という事ですが、お子さんの進学についてのご希望はありますか?例えば、このような項目について、ご夫婦で話し合ってみてください。

・大学への進学を希望するのか
・理系と文系のどちらになりそうか
・理系の場合には大学院、文系の場合には留学などの希望はあるか
・ひとり暮らしの可能性はあるか、その際は支援をするか
・私立に進学するとしたら、小・中・高・大のいつからになりそうか

図表1は、文部科学省のデータより、進学先ごとの1年あたりの教育費を一覧にしたものです。表の中の数字は、学校納入金に加えて、塾や習い事等にかかる費用の平均値も含んでいます。私立に進学すると、高校では公立の2倍以上、中学校では約3倍、小学校では約5倍の教育費がかかっていることに気がつくでしょう。

大学教育にかかる費用は?

図表2は、大学1年当たりにかかる費用です。私立の場合は年間136万円なので、4年分だと544万円になります。ただし、この私立大学の金額は文系理系の区分がありませんが、実際は理系の授業料は文系よりも高額ですし、大学院への進学率も高くなります。私立文系の場合は4年で約500万円、私立理系の場合は4年で700万円、私立理系で大学院に進む場合には約1000万円を目安としておきましょう。

教育費の貯め方、具体的にいくらずつ貯めていく?

お子さん2人の教育費の貯め方を具体的に考えていきましょう。

高校卒業まで公立へ進学予定の場合には、大学4年間の学費を18歳までに貯めるようにしましょう。仮に500万円ずつ貯める場合には、月々の積立額はこのようになります。

4歳のお子さんの場合、500万円÷(18-4年)÷12ヵ月=2.98万円
1歳のお子さんの場合、500万円÷(18-1年)÷12ヵ月=2.45万円

もし、中学受験を予定している場合には、中学校から教育費の負担が重くなることを想定して、中学校入学までに大学費用を貯めておくことをお勧めします。1カ月あたりの教育費積立額を計算するとこのような金額になります。

4歳のお子さんの場合、500万円÷(12-4年)÷12カ月=5.2万円
1歳のお子さんの場合、500万円÷(12-1年)÷12カ月=3.79万円

もし、私立理系に進学した場合には、この500万円に加えて、現在加入している貯蓄性のある保険の解約返戻金を利用しましょう。月々1万円を20年間支払うタイプ、年間24万円を10年間支払うタイプの保険にしているので、どちらも保険料の支払いを終えて解約すれば240万円以上になるものと思われます。

このように考えていくと、年間221万円している貯蓄のうち、中高が公立予定の場合には月々5万5,000円(年間66万円)、中高が私立予定の場合には月々9万円(108万円)を教育費として取り分ければ、あとは使い道が縛られない余裕資金と考えられます。

自己投資や家族の思い出作りに使ったり、より積極的な運用に挑戦したりもできるでしょう。

保険の見直しについて

最後に保険の見直しについてお答えします。現在、貯蓄性の保険に多数加入しているため、保険料の支払いが重いと感じていらっしゃるようですね。

ご主人の保険の場合、医療保険はそのまま残し、また、月々1万円支払っている変額保険は学資目的として考えられます。ドル建て年金保険は、記入いただいた返戻率から見ると魅力がありますね。このように考えると継続する理由が一番見つからないのが、積立型の三大疾病保険という事になります。60歳まで続けた場合の総支払額と解約時の返戻金の額を比べて検討してみましょう。また、幼いお子さんが2人いることを考えると、死亡保障額が少ないことが気になりました。掛け捨ての定期保険か収入保障保険で死亡保障を上乗せしてみてはいかがでしょうか。

ご相談者さん(妻)の保険も同様です。会社で加入している医療保険、定期保険1,000万円、積立型の死亡保険はそのまま継続しましょう。積立型の三大疾病保険については、総支払額と解約時の返戻金の額を比べて再検討してみてください。

© 株式会社マネーフォワード