トラスタの観衆をどよめかせるほどの強烈なミドルで、劣勢の重い空気を一変させた。
前半ロスタイムの表示は2分。その目安に到達する間際だった。V長崎の加藤大は相手のクリアボールに反応し、左足を振り抜いた。鋭いドライブ回転がかかったボールはGKの手を弾き、先制のネットを揺らした。
本人も「思い切りよく振れて当たりもよかった」と手応え十分の一発。背番号13にとって2シーズンぶり、そして新潟から今季加入して以来初となるゴールが、チームに流れを呼び込んだ。
中盤で推進力を生み出していたカイオセザールが累積警告で出場停止。その代役として、5試合ぶりの先発に名を連ねた。町田の圧力をかけてくるような守備につかまり、攻撃の組み立てに手を焼いていたが、それを割り引いても余り多い貴重な得点。後半44分には敵陣でボールを奪い、3点目の起点になった。
V長崎の中盤は秋野、カイオセザールの印象が強いが、加藤大も運動量の多さとミスの少なさで重宝されている。「厳しい戦いが続くけれど、一生懸命戦っていきたい」。今節は上位3チームがそろって勝利。負けられない局面が続く中“3人目のボランチ”の台頭はチームにとって心強い。