――C70はCINEMA EOS SYSTEMとして発売されますが、従来のCINEMA EOSとどのような違いがありますか?
鳥居氏:EOS C500 Mark IIやEOS C300 Mark IIIの発表時にも私達からお伝えさせて頂きましたが、CINEMA EOS SYETEMはお客様が仕事でお使い頂く機材をトータルで提供したいと考えております。お客様がレンズを選んで、撮りたい作品やお仕事に応じてカメラを選ぶ。そこにフルサイズとスーパー35mmといった幅広い形でご提供をして、適切な機材を選択いただけるのではないかと考えております。
現在、CINEMA EOSは、機動性やシンプルに使っていただいてすぐに納品をしたい現場でご好評いただいていますが、最近、動画コンテンツの増加に伴い撮影業務に関わるクリエイターの方々も増えております。その方たちにもCINEMA EOSに触れていただきたいという思いで開発に至りました。これまでのCINEMA EOS SYETEMと一緒に使っていただいても違和感のない仕上がりを維持しつつ、高い機動性と基本性能をご提供できると考えています。
――想定価格約60万円のボディにC300 Mark IIIのDGOセンサー搭載には驚きました。改めてDGOセンサーの利点を教えてください。
小布施氏:C300 Mark IIIと同様、Canon Log 2 と組み合わせて16+Stops相当を実現しています。この小さいカメラで16+Stops相当のダイナミックレンジを体験できるのは非常に大きな特徴と考えています。
当然ながらC300 Mark IIIと同じ、一つの画素出力に対して高ゲインと低ゲインの映像を合成して出力することで、蓄積時間のズレがないHDR映像を撮影できることなど、性能はまったく変わっていません。もともとDGOセンサーは小型の機種にも搭載することを見据え、DGOでの高画質に加えて消費電力を抑えるような工夫も入っています。これらの結果、C300 Mark III よりも非常に小型なC70にも搭載することができました。
――マウントアダプターEF-EOS R 0.71×の開発も大きなニュースだと思いました。開発に至った経緯を教えてください。
マウントアダプターEF-EOS R 0.71×には、がたつきを抑えるロックプレートを付属。カメラボディに4か所ビス止めが可能で、しっかりと固定できる
田中氏:スーパー35mmのCMOSセンサーとEFマウントを組み合わせると、約1.4倍、望遠側にシフトします。そこに対して、きちんとフルサイズ画角で撮りたいというお客様の要望を多数いただきました。そこでEFレンズのポテンシャルを最大限に使っていただけるように、マウントアダプターEF-EOS R 0.71×の開発に至りました。
――C70では従来のCINEMA EOS SYSTEMからガラッとデザインを変更してきました。デザインのポイントを教えてください。
背面の様子。より小型に見せるための工夫が盛り込まれている
森氏:CINEMA EOS SYSTEMは、これまでグリップの取り外しが可能なモバイルコアデザインをコンセプトとしてきました。それに対してC70はグリップ一体型のスチルカメラライクなプロポーションかつ、CINEMA EOSとして初めてのRFマウント機となりますので、先に発売したEOS Rシリーズとの関係も意識しました。
そこで、CINEMA EOSらしさを持ちつつ、EOS Rシリーズとの関係性もしっかりと感じられるデザインとしました。具体的には、正面のキヤノンロゴ周辺の造形は曲線的なEOS R系の特徴を意識しつつ、C300 Mark IIIやC500 Mark IIで行っている帯上に面をカットしていく処理をバランスよく入れることで、CINEMA EOSとEOS Rシリーズとのデザイン的な融合が図れたと思います。
また、SDカードは2スロットで、4KプログレッシブとフルHDのインタレースを同時記録が可能です。タイムコードインターフェイスを前面のハンドルのグリップの下に用意しており、マルチカメラオペレーションにも対応します。C300 Mark IIIと同じDGOセンサー搭載で、C300 Mark IIIのBカメとしてもベストマッチでご使用いただけます。C70が加わったことで、CINEMA EOS SYSTEMはさらに幅が広がりましたので、仕事に応じて適切な機材を選んでいただければと思っております。