<金口木舌>米大統領に期待することとは

 4年前の2016年11月、米首都ワシントンで大統領選の投開票を固唾(かたず)をのんで見守った。辺野古の新基地建設はどうなるのか。感情が高ぶったのを覚えている。結果は、自国第一主義を掲げたトランプ氏が勝利したのは周知の通り▼あれから4年。排外的主張を繰り返すトランプ氏は米国内の混乱を引き起こし、なおも分断をあおる発言を続け、過激思想を擁護するような姿勢を取り続ける。米国社会の分断は一層、深まっている。今回の選挙戦は、それを象徴するものとなった

▼米各地の投票所では、武装した集団が監視名目で投票所に集まるという現象が起きている。有権者を威圧したなどとして逮捕者も出ている

▼大都市では開票後の暴動を警戒し、商店や建物にはベニヤ板が張られ、警官らによる厳戒態勢が敷かれている。前回の選挙では見られない光景だ

▼今後4年間の米国政治のかじ取り役が決まる。一国だけでは解決できない問題が増える中、次期大統領には米社会の融和を導き、国際協調にかじを切ることに期待する

▼もう一つ。沖縄の歴史は日米両政府に翻弄されてきた。在日米軍専用施設の7割が集中し、県民の生命や財産が脅かされてきた。そのために選挙戦への県民の関心は高い。米国から遠い島かもしれないが、決して無関係ではない。今こそ県民の切実な声を聞くときが来ている。

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