九州高校野球準決勝 「あの場面で打てるとは…」地元、スタンド 元気もらった

サヨナラ勝ちに喜びを爆発させる生徒ら=大崎高

 第147回九州地区高校野球大会第4日は5日、長崎市の県営ビッグNスタジアムで準決勝2試合が行われ、長崎第1代表の大崎は昨年優勝の明豊(大分)に延長十二回3-2でサヨナラ勝ちした。
 「また元気をもらった」「優勝まであと一つ」。大崎の地元の西海市では、市民がインターネットやラジオの中継の前で声援を送り続け、初の甲子園出場が確実となる決勝進出を決めた瞬間、喜びを爆発させた。
 今大会は保護者や後援会など、関係者のみの無観客試合。学校では野球部員と6日の県高校駅伝出場のために島を離れた陸上部員を除く生徒、教職員ら約60人が、視聴覚室に集まって熱戦を見守った。
 試合は1点を争う好ゲーム。生徒らは選手たちのプレーに一喜一憂した。延長十二回に乙内翔太のサヨナラ打が飛び出すと、盛り上がりは最高潮に。生徒らは総立ちで万歳三唱した。
 笠原凌真生徒会長は「守備練習に力を入れていると聞いていた。最後まで粘りを見せてくれた。野球部員に決勝も頑張れとメールを送りたい」。吹奏楽部の前田彩星部長は「スタンドで吹けず悔しいが、演奏ができる時に備え、私たちも練習を頑張る」と目を潤ませた。
 野球部の合宿所の近くで食料品店を営む中村幸子さんは、ラジオ中継に耳を傾けた。「ここ数カ月、客との会話は大崎の話題で持ち切り。部員が買い物に来たら、おめでとうと声を掛けたい」と笑顔を見せた。
 スタンドには関係者ら約200人が駆けつけ、大きな手拍子で選手たちを元気づけた。同点、サヨナラ打を放った乙内翔の父信助さんは「あの場面で打てるとは…。夢のようです」と感慨に浸った。
 昨季の主将の坂口航大さんは「試合を重ねるごとに成長した。明豊を相手に守備でしのぎ、勝ち切ったのはすごい。自分たちが目指してきたこと、やってきた野球が間違いではなかったと証明してくれた」と後輩たちに感謝していた。


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