長崎県高校駅伝大会 男子・鎮西学院、女子・諫早が優勝 全国大会出場へ

男子4区、区間新の快走でチームを勢いづけた鎮西学院の小林=南島原市(左)、女子第1中継所、諫早の1区川尻(左)から2区川口へ=雲仙市

 第72回長崎県高校駅伝大会は6日、雲仙・小浜マラソンコース(男子7区間42.195キロ、女子5区間21.0975キロ)に男子41、女子23校が出場して行われ、男子は鎮西学院が2時間10分21秒で3年ぶり15度目、女子は諫早が1時間10分9秒で2年連続26度目の優勝を飾った。両校は全国大会(12月20日・京都)の出場権を獲得した。
 男子は鎮西学院が1区渡野の区間賞発進から最後まで首位をキープ。4区小林の区間新の快走などでリードを広げた。1分13秒差の2位に松浦、3位に創成館が続いた。女子は諫早が1区川尻から全員が区間賞を獲得。最後は2位長崎女に2分12秒差をつけて、2年連続で完全優勝を果たした。3位に鎮西学院が入った。
 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、例年、男女の上位各3校が出場していた九州大会は中止となった。

◆男子 鎮西学院 3年ぶりV 鬼門の8キロ区間攻略
 駅伝に強い鎮西学院が帰ってきた。前評判では2番手とみられていたが、終わってみれば一度も先頭を譲らずに42.195キロを走破。「中盤にリードを広げることができた」。4区を区間新で駆け抜けた小林の言葉が勝因を物語っていた。
 苦い経験を糧にした。3、4区の8キロ区間は、昨年まで2年連続で松浦に逆転を許し、大きく差を開けられた“鬼門”。今年もそこに主軸を並べてきたライバルに対して、鎮西学院は2年エースの山下、1万メートルで10月に自己ベストを出したばかりの小林をぶつけた。
 起用は的中した。3区山下は序盤2区間の貯金を大きく崩さず、4区小林は「昨年、同じ区間で負けた網本(松浦)に借りを返す」と大会で最も古い区間記録を21年ぶりに塗り替える快走。付け入る隙を与えなかった。
 個々の能力で見れば、花尾(駒大)らを擁した昨年の方が上だったのかもしれない。だが、入江監督は「今年は一人一人が責任感を持ってくれるようになった」とチームの変化を感じていた。「コロナで全体練習がストップしても、必ず各自でどこかを走っている。自分がやらなきゃという思いが育まれて、それがきょう出た」
 2年連続でアンカーを任された宮川は、ゴール手前で監督の姿を見つけると、勝利を確信するように両こぶしを握った。「ここに来るまで苦しかった。やっと勝つことができた」。1年前とは正反対の感情、表情で、歓喜のゴールに飛び込んだ。

◆女子 諫早 全区間賞で連覇 両エース離脱に奮起
 エース格の3年生、畑本と森田を故障で欠いた今大会。諫早はこのピンチをチャンスに変えた。「いつも助けてくれた先輩を、私たちが都大路に連れて行く」。1、2年生5人のオーダーで、それぞれの成長を示す完全優勝。藤永監督は「思いをつないでしっかり走ってくれた」とホッとした表情を浮かべた。
 昨年の全国大会で8位に入り、10年ぶり13度目の入賞を果たした。今季は、その2~5区を務めた森田、川尻、川口、畑本が残る。より上位での連続入賞に照準を合わせて始動したが、8月末に畑本、10月になって森田が戦線離脱した。
 チームにとっては大きな痛手。動揺もしたが、それを一人一人が奮起の材料にした。「このままじゃいけない」「私たちが頑張らないと」-。自覚が芽生え、全体の底上げにつながった。
 都大路への第一関門となる今大会。まず、昨年の全国を知る1区川尻、2区川口が仕事をした。「2人で流れをつくろう」。そう誓った通りに、2区終了時点で約1分近いリードを奪った。その後も気を緩めずに着実に差を広げ、アンカー水谷がV2のゴールテープを切った。
 レース後、畑本と森田は全国切符をプレゼントしてくれた後輩たちに「ありがとう」と心からの感謝を伝えた。「みんな頼もしかった。次は都大路で私たちがエースとしての走りをしたい」(畑本)。チームのピンチは、都大路連続入賞へ挑む仲間の結束も強くした。

© 株式会社長崎新聞社