九州高校野球 大崎初V 最高の勝利 地元歓喜

九州王者となった選手たちに拍手を送る後援会の宮本理事(右)=県営ビッグNスタジアム

 大崎の初優勝が決まった瞬間、地元関係者や保護者ら約200人が駆け付けた応援席は歓喜に包まれた。目標だった「地域とともに甲子園へ」を現実にして、さらに九州王座にまで駆け上がった選手たちを大きな拍手でたたえた。
 今大会初登板で1失点完投した福江中出身の勝本の母、亜希子さんは「最初はハラハラした。入学して半年で、この舞台で投げ切ってくれてうれしい。正月に福江へ帰ってきたら、好物のハンバーグをおなかいっぱい食べさせたい」とほっとした表情。3安打2打点の5番松本の父、宏之さんは「小さな島の公立校が強豪私立を次々と倒してくれたことが一番。清水監督の下、地域に支えられて野球ができる選手たちは幸せ者」と目を細めた。
 野球部後援会(浅田直幸会長)で広報を担当する宮本雄介理事の喜びは人一倍だった。軟式野球をしていた高校時代から「すごい」と思っていた清水監督が大崎に来て以降、タオルやTシャツをはじめとする“大崎グッズ”のデザイン、販売を手掛けるなど、チームを地元に浸透させるために献身的に活動。3年前まで10人ほどだった後援会員は現在、約300人になった。小学1年の長男は地元のクラブで白球を追い始め、早くも「大崎に行く」と目を輝かせているという。
 大会期間中は、SNSを通じた情報発信のほか、コロナ禍で制限されたスタンド入場者の名簿作成などに奮闘した。最高の勝利を見届けた後は「チームにとっても、自分にとってもここは通過点。大崎のファンを増やし、甲子園をイメージカラーの青で染めたい」と思いを膨らませていた。
 地元の西海市では、試合を終えて学校に戻った選手たちを、生徒や教職員、隣接する大崎中の生徒ら約60人が出迎え、吹奏楽部の演奏などで祝福した。杉澤泰彦市長が「これからも地域に愛され、力をつけてほしい」とチームの活躍をたたえ、秋山主将がお礼を述べた。

 


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