流行語にもコロナ

 漫画のギャグ「鼻血ブー」が人気を集め、若者には「しらけムード」が広がった。ほかにも「ウハウハ」「歩行者天国」「わるのり」と、半世紀前(1970年)の流行語には、世相を今に伝えるものも、今なお現役もある▲5年前なのに、昔のことに思える流行語もある。来日した中国人が物を買い込む「爆買い」がそうで、今年はぴたりとやんだ。かつて「爆買い」って言葉があってね…。こんな昔語りをする日が、いずれ来るのかどうか▲「爆買い」が過去の言葉に思われるのは、言うまでもなく新型コロナの拡大による。今年の「新語・流行語大賞」の候補30語が発表されたが、コロナにまつわる候補が実に半数を占めた▲集団感染を指す「クラスター」。帰省、飲み会などが○○に入る「オンライン○○」。コロナ関連の新語・流行語は、にわかに広まった横文字が多い▲おととしは、カーリング選手が声を掛け合う「そだねー」、昨年はラグビー日本代表の「ワンチーム」が年間大賞に選ばれた。同意する、一丸となる。心と心を結ぶ、そんな言葉が今年の候補に見当たらないのは、どこか寂しい▲きょうは「立冬」で、暦の上では冬に入る。〈よきことば生(うま)れよと秋立ちにけり〉長谷川櫂。ここでは秋を冬と読み替えて、冬立つ日に「よきことば」の誕生を待つ。(徹)

© 株式会社長崎新聞社